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*
『夏目…』
｢待っていたヨ｣
ひらひらと手を振り語尾を歪ませるこの後輩は、少し前まで弟のように可愛がってきた五奇人の末っ子の笑顔は以前のような人懐こいものではなく、作り物めいたもので、警戒されていることが一目瞭然だった
『私がここに来ていること、知ってたの？』
ここはアイドル科と普通科の境目
かつて何度も通ったフェンスの裂け目だった
｢ううん、たまたまだヨ。ししょ〜に実験をするのに人通りの少ない場所を教えてもらったらここだっただけダ｣
“ここには最近人が来た気配が残っていた。こんな場所にくるのは、Aくらいのものでしょう？”
この喋り方をされると、素直に頷いてしまう
本当に魔法のようだから不思議だ
確かにアイドル科からも普通科からも校舎とは離れた裏庭のさらに奥にあるような場所だけれど、日当たりも悪いしサボるのにも向かない
なのに私の足は暇になると私をここに連れてきてしまう
さすがにその向こうへ踏み込んだりはしないけれど
｢こんなところで、何をしているノ｣
『ここにいると、思い出に浸れるから』
我ながら年寄りめいた理由だと思う
零の気配を感じたい
零との繋がりがほしい
その一心で会えるわけもないのにこんなところに通っているのだから
｢…ふぅン。天祥院英智に寝返ったのかと思ってタ｣
違ったみたいダと、すこし笑みをやわらかいものにする
やはり、そのことについて警戒されていたみたいだ
『ごめんね、英智のこと黙っていて』
｢本当だヨ、まったくもウ。宗にいさんも心配してたんだかラ｣
夏目は努めて笑みを保っているが、その瞳には疲れが映っているように感じた
やはり状況は芳しくないようだ
『零、今どこにいるか知ってる？』
｢知らなイ。でも12月には帰ってくるんじゃないかナ｣
『12月？何かあるの？』
保たれていた笑顔はついに壊れる
ししょ〜の、五奇人の、最後のステージ
ねエ、零にいさんを説得してヨ
Aなら、零にいさんも聞いてくれるかもしれなイ
泣きそうな顔にフェンスの隙間から手を伸ばし、触れる
なんて声をかけたらいいかわからない
けれど今はこうしていなければいけない気がした
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ゆゆちゃん(プロフ) - 夜桜 奏さん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます！更新早いのがだけが取り柄なので頑張りますっ笑 (2019年9月13日 22時) (
レス) id: 7a2e201cbb (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 奏 - 健気すぎる夢主ちゃんに涙です…頻繁に更新して下さりありがとうございます!いつも楽しみにしています (2019年9月13日 21時) (レス) id: dd2c6bf5e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆちゃん(プロフ) - 月見団子さん» ほんとですね、申し訳ありません！非公開外しておきました。。気をつけます！ (2019年9月13日 17時) (レス) id: 7a2e201cbb (このIDを非表示/違反報告)
月見団子 - いつも楽しく読ませていただいております。えーと…『75話』が抜けてません？ (2019年9月13日 17時) (携帯から) (レス) id: d5ccda77cf (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆちゃん(プロフ) - うみさん» そう言って貰えて嬉しいです！こちらこそありがとうございます！ (2019年9月13日 2時) (レス) id: 7a2e201cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆゆちゃん | 作成日時：2019年9月11日 1時
