え ページ9
それから何日が経過しただろうか。
晴れた日が続いているからなのか彼が姿を見せることはなかった。
「うらたさん……」
自覚してから、日に日に彼に対する思いは強くなっていた。
何より私は彼に対して返事をしていない…気持ちを伝えてないよ…
泣き疲れてしまったのだろうか、いつの間にか寝てしまった。
あたりが暗いということは…もう、夜か。
「ずいぶん長いお昼寝だな。」
「…え。」
「…久しぶり…っていうのもおかしいな。」
「うらたさん……！」
背後から聞こえてくる声に、振り向くと彼がいた。
存在を確かめるように、彼に抱き着けば優しく抱きしめ返してくれた。
「うらたさん……！うらたさん……！」
「ったく…襲われかけたってのに…怖くねぇの？」
「どっちも…うらたさんが助けてくれたから……」
「…悪かった。無事で…よかった…」
そっと体を離されて、彼と目が合う。
あの時薄く紅を帯びていた瞳はいつもの緑色に戻っていた。
あぁ、いつもの彼がここにいる。
「うらたさん…私もうらたさんが好き。」
「うん。」
「愛してるよ、うらたさん…」
「俺も…愛してる…ずっと一緒だかんな…」
彼の顔が近づいてきて、唇が額に触れた。
額から瞼、頬と降りてきて彼は何度も唇に口付けを落とした。
「A…愛してる。俺のモノになって……」
「うらた…さん…」
「笑った顔も、泣いた顔も、お前の全部、俺のモノだから…」
「うん…うん……！」
その後はお互いの存在を確かめ合うように、抱きしめ合い口付けをかわした。
あぁ、こんなにも幸せになっていいのだろうか。
…どれくらいの時が経っただろうか。
空の青がだんだんと明るくなってきた。
「…そろそろ帰んなきゃな。」
「ん…」
「また夜になったら来るから。」
そう言って、彼がドアを開けたときだった。
銀色の縄が、彼を縛り付け動きを封じられている。
「うらたさん！？」
「なん…だこれ…力が抜ける……」
「教会で清めた縄だ、吸血鬼のお前の動きを封じる。」
「くそ……」
「やめて！！」
「お前でも役に立つとはな、お前のおかげで吸血鬼をとらえることができた。」
「違う！うらたさんはこの村を襲ってない！」
「A……」
「ふん、吸血鬼は悪しきもの！連れていくぞ。」
縛られた彼を引きずって、村人達はいなくなった。
彼と、もう会えなくなってしまうのか…そんなのは嫌だ。
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天霧 珠響(プロフ) - 号泣したあああああああ｡･ﾟ･(ﾉД`)･ﾟ･｡素晴らしい作品でした！！！ (2020年6月30日 20時) (
レス) id: 6d7b469f38 (このIDを非表示/違反報告)
真冬（まふさん）(プロフ) - すごく泣けましたヽ(；▽；) (2019年12月30日 22時) (レス) id: 357271c7c9 (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 泣けました。(僕、これ読み終わった後に服が涙で濡れてたとか知らない(/ _ ; )) (2019年11月11日 7時) (レス) id: 4127dbd5b5 (このIDを非表示/違反報告)
アニメヲタク(プロフ) - はじめまして！他の作品も見させて頂きました。凄く感動しました。素晴らしいストーリーですね！！ (2019年4月15日 0時) (レス) id: 0ec9b45328 (このIDを非表示/違反報告)
Elice(プロフ) - momoheartさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて、泣き初め…というのでしょうかね？いただけてすこしでも表現したいこと伝わっていれば幸いです…！お読みいただきありがとうございました！ (2019年1月8日 1時) (レス) id: 2363fe1fb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Elice | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Elice_id/
作成日時：2018年10月18日 1時
