何度廻っても、俺はお前を愛してる【う ら た ぬ き】

ら ページ12

「最期に…俺のわがまま…聞いてくれよ…」

「な…に…」

「このまま、朝が来るまで一緒にいて。お前を感じさせて……」

「うら…た…さん。」

「消えるその瞬間まで、こうさせろ。」

　
　
片手で強く引き寄せられる。
うらたさんの鼓動が聞こえてくる。あぁ、まだ生きているのに。
人間と同じように心臓が鼓動を刻んでいるのに。
どうして人間と吸血鬼は共存できないのだろう。


　
「…あったかいなぁ、A。」

「うらたさんも…あったかい。」

「お前抱きしめてるからな…」

「うらた…さん…うらたさん……大好き、愛してる。」

「俺もAを…愛してる。だから泣くなって…最期は、お前の笑った顔が見たい。」

「だって……だって……そう言われても…！」

　
彼の背にある地平線がうっすらと白く光りだしている。
残された時間は短い……彼との別れが近づいているんだ………
神様、どうか彼に救いを。死という宿命から逃れられないのであれば
せめて…彼の死が苦痛ではなく安らぎに満ちてますように……


　
「そろそろ……か。」

「やだ、やだよ。うらたさん…！！」

「…俺のこと、絶対に忘れんじゃねぇぞ。」

「当たり前でしょ…！！」

　
光がどんどん近くなっている。
涙でぐしゃぐしゃになっていた視界を何とかぬぐって彼を見る。
最後に彼の姿を焼き付けるために。彼に笑顔を見せるために。
吸血鬼は火に焼かれて灰になる、そう聞いたはずなのに。
彼は………こんな状況でも、笑っていた。
　

「焼かれるって言ったのに……苦しくない…」

「え……」

「神様も、こんなところで優しくしてくれなくてもいいのになぁ…」

　
そう言いながら、彼はそっと口づけを落としてくる。
抱きしめている彼の身体が白い光に照らされて
その光を吸収するように…白に包まれていった。

　
「やだ…やだよ！もうお別れなんて…こんなにも、愛しているのに…！」

「俺だって…愛してる。……きっと…また出会えるから。」

「ホント…？」

「俺が、絶対にお前を見つけ出す。何度生まれ変わっても絶対に。」

「…約束だからね…！！」

「あぁ、約束する…」

　
　
「さようなら。」最後にそう残して、彼は白い粒子になって消えていった。
苦しまずに逝くことができたのだろうか…
唇に残った感触……最期にした口づけは、彼の涙によって少し塩辛かった。


　
　
　
　
　
　
　
　



　
　
　
　
　
　
　

　

「……忘れないから、絶対に見つけてね。うらたさん。」

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