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辻村の憂鬱24 ページ34

塩?


辻「塩って調味料のですか?」
綾「ほう、それ以外の塩という概念が君にはあるのか。それなら是非教えて貰いたいものだな」


皮肉しか込められていない発言に思わず怒鳴りたくなる。が、堪える。


辻「で?どうやって確かめろと?」
綾「舐めろ」
辻「はい?」


綾辻先生の顔と笹の葉を見比べる。
・虫食い
・泥
・よく分からないなにか
これらのついた笹の葉を舐めろと?
鏡からぽつり、と助言される。


A『鑑識に調べて貰えば………』
辻「そうじゃないですか!鑑識に調べて貰えばいいのでは」
綾「チッ」


舌打ちしたんだけど、この人?!


綾「Aもいちいち口を出すな。こういうのは辻村君自身が苦悩するのを見るのが面白いのだからな」
辻「ふざけないでください!」
A『すみません、行人さん』


Aさんも謝らなくていいのに。


綾「笹の葉、石ときて、これで塩が出ればAの言ったとおり呪詛だろうな」
辻「さっきから言ってる呪詛って一体何なんです?」
綾「Aに聞け。少なくとも辻村君より博識だ。俺は忙しい」


……………心折れそう。
鏡を開いて俯いたまま聞く。


辻「ということで教えて貰ってもいいでしょうか、Aさん……………」
A「“此の竹の葉の青むが如く 此の竹の葉の萎ゆるが如く 青み萎えよ 又此の塩の盈ち乾るが如く盈ち乾よ 又此の石の沈むが如く 沈みこやせ”。古事記の中巻に出てくる。笹と石と塩を呪具とする日本古来の呪いの一種に、今回のこれは当たる………」
辻「三分の一くらい分かりました………多分」
綾「三分の一か。政府代理人とはその程度の頭しかないのか?」
辻「酷い!………っていうか、先生は何をしてるんです?」


私がAさんの解説を聞いている間井戸に手をかざしているだけだった。


辻「何か受信でもしましたか?」
綾「霊感探偵になった覚えはない」
辻「先生?」


綾辻先生がふん、と踵を返して車に戻ろうするのを呼び止める。ひらひらと手を振られ、言われる。


綾「お手上げだ。帰るぞ」
辻「ええっ?お手上げって………」
綾「A、今から帰る。夕飯は俺が作るからビーフシチューの下拵えだけしておけ」
A『分かりました。羊肉の解体はどうしましょう』
綾「また今度にしよう」


夕食のメニューを打ち合わせる始末。
車に乗り込み、走らせるが綾辻先生は何も言わなかった。


辻「………き、気にすることありませんよ!」

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乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» 同い年ですね! (2019年8月17日 21時) (レス) id: a46352e6e0 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 乾 巽さん» 同い年……オーマイガァー (2019年8月17日 20時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» ありがとうございます、そんなこと言われたの初めてです。因みに年は今15です (2019年8月17日 11時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 文才力の塊……。その文才わけてください← この小説とても面白くて大好きです!!私も作者様と年変わらないと思うので……羨ましいです……。 (2019年8月17日 11時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - ありがとうございます、頑張りますね (2019年8月10日 10時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乾 巽 | 作成日時:2019年1月23日 16時

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