綾辻の追憶 ページ4
人形の目を仕上げていたある日、俺は突然特務課に呼び出された。殺人事件の解決依頼だった。
無差別大量殺人と銘打たれていた事件の解決依頼。
凶器もあり、目撃者も大量にいた。
犯人はその場で身柄を拘束されて逮捕され留置中。
べつに難解でもなんでもない、ただの大量殺人事件だ。
規模が大きいのは確かだが犯人が分かっているのだから。
なのに俺に依頼されたということは今捕まっている少女は犯人ではない可能性が高い。
本当に犯人ならそのまま極刑にすれば良い。
それをわざわざ俺に依頼したのは真犯人がいる疑いがあり、其奴を事故死させろということだろう。
監視役に周囲を囲まれながら留置場の面会室をマジックミラー越しに覗き込んだ。
警察が机を強く叩いて尋問している少女は−−−−−−−大きい音に怯えることもなく虚ろな目で空を見ていた。
焦点の合わない瞳は暗く何も映していないようにすら見えた。
無反応の少女にしびれを切らし警察は部屋から出てきた。
監視役に周囲を囲まれている俺を見て驚き、首を傾げていた。
綾「異能特務課から来た。探偵の綾辻行人だ。
あれが犯人の少女か？」
後ろから監視役が刑事に何事か囁くと刑事はまだ困惑しながらも返答した。
刑事「あ、ああ………今日は全く喋らない。逮捕されてしばらくは自分で銃火器を用意して犯行に及んだふしの自供をペラペラしていたんだが、しばらく前から何も喋らないんだ。
むしろ無反応で糸の切れた操り人形みたいで…………………。
最初の方は殺したときのことを嬉々として話す快楽殺人者の類に見えたんだが、
今はまるで別人だ」
綾「彼女の出身は？」
刑事「ヨコハマ出身じゃなかった。
東海地方の山奥の町出身で、ヨコハマへは家族との観光で来ていたことがホテルの証言で判明した。
家族は両親と妹、弟の５人家族だったが、全員死んでいる。
彼女が、自分で撃ち殺したんだ」
自分の家族を殺したのか。
今ある情報を整理して思考する。
何故彼女は事件を起こしたのか。
それが分かれば解決したも同然だ。
挙動や発言が一貫しない、性格が変わっている、家族を殺した。
綾「なるほどな」
真犯人も詰めが甘いものだ。
人形劇は幕が降りるまでが劇である。
幕が降りる前に操るのをサボった操り氏は死ぬ。
俺の異能力、「Another」に引き起こされる事故によって。
この事件は、人形劇だったのだ。
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乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» 同い年ですね！ (2019年8月17日 21時) (
レス) id: a46352e6e0 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 乾 巽さん» 同い年……ｵｰﾏｲｶﾞｧｰ (2019年8月17日 20時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - 赤珠さん» ありがとうございます、そんなこと言われたの初めてです。因みに年は今１５です (2019年8月17日 11時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
赤珠 - 文才力の塊……。その文才わけてください← この小説とても面白くて大好きです！！私も作者様と年変わらないと思うので……羨ましいです……。 (2019年8月17日 11時) (レス) id: 8dc3cc174c (このIDを非表示/違反報告)
乾 巽(プロフ) - ありがとうございます、頑張りますね (2019年8月10日 10時) (レス) id: c1b6b5f4c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：乾 巽 | 作成日時：2019年1月23日 16時
