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第262話:自尊心 ページ26

心の中で部室に残した友人に謝り、椅子に座らせた彼女を横目に内鍵を掛けた。

脳裏には、余りにも近い距離でいとも容易く囲まれ、手を握られたAがしっかりと焼き付いている。

冷静なつもりだったけれど、案外僕は腹を立てているらしい。
彼女に近付いた男達に?いや、むしろ、警戒心無く近付かせた彼女に、その自覚の無さに。


聞けば僕への相談内容というのもやはり、「最近知らない男子生徒に話し掛けられる」というものだったようで、更に男子の邪な下心について言及してもピンと来てはいないようだった。


彼女は妙に自己評価、自尊心が低いところがある。
それはひとえに過去にあった事件のトラウマから、他人と壁を作り距離を取ってきたからに他ならないが、特に男を避けてきたために下心やそういう男性的な心理について無知が生じている。

自分が大人しそうで舐められ易いとは想像できても、女の子として、恋愛や性的な対象として見られるということに理解が及ばず、下心に反応や警戒ができないのだ。


そこに自尊心の低さが合わさり「自分なんかを好きになる男などいる訳がない」とまで思っているような気がする。
本人も恋愛的な感情が分からないというのは自覚の上ではあったが、さすがに鈍すぎて僕も非常に苦労させられたところである。


ともあれ、女性は愛されて自信が付くという。
今自尊心が低かろうとどうとでもなる。
僕が愛して、自信を付けてやればいいのだ。

「赤司征十郎に愛される」ことがどういう意味を持つのか、身をもって知れば自ずと自信も付くだろう。


重要なのは、できるだけ彼女のトラウマに障らないように、恐怖心に結び付く触れ方は避けること。

男は危険だ狼なんだと吹き込みながら、僕にだけは委ねてもいいと刷り込んでしまえれば。



…こんなことを思う度、自分はこれ程まで欲深い人間だったのかと思い知る。

純真で初心な彼女には不釣り合いなのではないか…とらしくもなく迷うが、これだけはしょうがない。
僕は欲しいものは何がなんでも手に入れる性質(たち)なのだから。


(ここ)まで堕ちてきて欲しいと願うし、落としてやる自信もある。



さて、では最終目標のために。
昼休みの今、この場でできることをしよう。

第263話:遠慮なく→←第261話:牽制



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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時

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