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第260話:予言 ページ24

さて、Aが教室で男子生徒と問答していた頃。

赤司は部室での談論を仕切りつつ、上の空な緑間に気付いていた。
誰よりも真面目な緑間が時折ドアの方を見ているから、誰かの訪問予定があるのだろうと予想できた。
というか赤司に対しても窺うような視線を投げてくるから、Aが後で来るのかな、とまで読んでいた。

さりげなく短く集会を終わらせ、赤司は緑間に声を掛ける。


「真太郎。Aがここに来る用事は何か知っているか?」


そう言うと緑間は驚いた様子で「水織が来ることを知っていたのか?」と質問で返してきた。


「そんな気がしただけだ。
本当に来るんだな?」


からかわれたと思ったのだろう、嫌そうに眉を顰めながら「ああ」と答えた。
偶にこういう鎌掛け、先読みのようなことをすると緑間は分かりやすく嫌がる。
占い好きの癖に僕の予言を嫌う面白い男だ。


「赤司に話があるらしいから昼休みに部室に来ればいいと言っただけなのだよ。
内容は水織が来たら直接聞け。俺から言えることは特に無い。」


…なるほど?
その口振りなら緑間はその話とやらの内容は把握しているのかな。


なんだ、僕より先に真太郎に相談したのか。
妬けるね。


冗談半分でそう言えば、緑間は引いた顔で「だから言ったのだよ」と呟いた。

順番はともあれ、Aが何か相談事を僕に話をしに来るというのだからいい。
正直内容に心当たりは無いのだが、わざわざ昼休みに会いに来るのだから相談すべき何かはあったのだろう。




ーーーーところが数分待ってもAの姿が見えない。
緑間が言うには昼休み開始から15分後には顔を見せると言っていたらしいが来ない。


「……教室まで、迎えに行く」


駒のない将棋盤を前に立ち上がった僕を緑間は止めない。
こういう時の僕の勘はいやに当たることを、彼はよく知っている。


「もし僕とすれ違いでAが来たら連絡してくれ。5分待っても2人とも来なかったら教室に戻っていい」


Aに起こっている何かのあらゆる可能性を考える。その場合どうすべきかも、何パターンか。


考えを纏めながらドアに手を掛け、最後に顔だけ振り返って、


「真太郎、万が一、もしもの話だけど、





Aが授業開始に間に合わければ理由は体調不良で頼むよ」




言い終わると同時にドアは閉まったが、見なくても緑間がどんな表情をしているかは分かった。
僕の予言が嫌いな友人は、とびっきりの苦い顔をしているに違いない。

第261話:牽制→←第259話:ぼんやり



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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時

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