検索窓
今日:11 hit、昨日:36 hit、合計:17,902 hit

第256話:開けろ ページ20

今までのとは違いすぎるキスに、このままではまずい、何か逃げ道はないかと薄く目を開く。

一瞬離れる間に伏せた赤い睫毛が僅かに揺れるのも、私の唇を舌で撫でた後に自らの唇を短く湿らすのも、しっかりと目で追ってしまい。

それが舌なめずりしてるみたいに見えて、強ち捕食という表現も間違っていなかったのかもしれない。
そう思うと胸の奥がぞくりと高鳴った。


しっとり濡れたお互いの唇が、今度はぴったり重ねられる。


「んん、ふっ、んっ……、」



ちゅ、ちゅう、ちゅる。

唇が離れ、くっつく度に、音が響くようになっていた。時折歯列に軽く触れる舌先の感触がいやらしい。
近過ぎて合わない目の焦点、それでも彼の赤い瞳が爛々と、「ここを開けろ」と要求しているのが分かった。


分かってる、顎を開いて歯の奥まで侵入されてしまえば、どうなるのかってことくらい。
だって私は何度かそれを経験してるのだ。
目の前のこの人によって。

まずいと分かっていても、どうしてなんだろう。
どうしてこの人の瞳に、抗えない。


震える唇を静かに開いて、顎の力を抜けば、酸素が喉を通り肺まで届く。
その空気の流れに乗るように、熱い舌がゆっくりと口内に入り込み、中を物色していく。

頬の内側、上顎のざらざらしたところ、歯茎、舌の裏側。

全部の具合を確かめた後で、逃げ回っていた私の舌先と彼のそれが、ちょん、と触れた。


「ンッ……!」


ぴりりと電気が走って、舌が淡く痺れる。

さっきまでの強引さが嘘のように、そっと優しく攫われて引き出されていく。



「は、んっ……んぁッ、!」



長い舌は器用に私を絡め取り、ざらついた粘膜を擦り付けてくる。

舌を使うキスは急激に密着度が増して堪らない気持ちになる。
どこかに掴まっていたくて、所在なくさ迷わせていた両手を赤司さんの背中に回してしがみついた。

私が苦しそうに声を上げるからか、赤司さんがほんの少しの呼吸の間に自身の膝を椅子の座面に乗せて身体を起こしてくれる。
私から見た彼の頭の位置が少し下がって、下から持ち上げられているみたいな体勢に。


引き出された舌が軽く歯の先で噛まれる。
お前からも絡ませろ、とのご命令だ。

戸惑いながらも引っ込み思案な舌を差し出すと、実に満足気に撫で回される。

じわ、と溢れた唾液が零れるぎりぎりで舐め取られ、じゅるりと音を立てながら吸われるのが恥ずかしい。
恥ずかしさでまた口の中が濡れて、溢れた唾液を纏った舌にくすぐられる。

第257話:予鈴→←第255話:プレッシャー



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
287人がお気に入り
設定タグ:黒バス , 黒子のバスケ , 赤司
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。