第252話:悪戯 ページ16
懐かしの資料室。
先に入るように促される。
「座って」
簡易机を挟んで向かい合わせに二つ椅子が置かれている。まるで用意されていたかのよう。
素直に従い手前側の椅子に座る。
カチャリと内鍵を締める音が聞こえたので反射的に振り向くと、
「邪魔されたくないから」
とのこと。
それ以上何かを言う気は無いようで、彼はそのまま向かい側の椅子に座る。
「まず、僕が今分かっていることを伝えよう。
主犯は男子某球部を中心とした生徒数名。
新聞で僕達の関係が広まって数日、彼等の中であるゲームが持ち上がったようだ。」
ゲーム?
さっき言っていた「お遊び」のことかな。
「その内容は、『赤司征十郎にバレずに水織Aにどこまで接触できるか』を競うというものだ。
僕やバスケ部の皆、それと本人に勘づかれないように、挨拶できたら1点、会話できたら2点、触れられたら3点、というようにね。
バレたらゲームオーバー、もしくは点数が低かった者が罰ゲームを受ける…そんなところだろう。
つまり、くだらない賭けのダシにされていたということだ。腹立たしいことにね」
「……!!」
思わず口を押さえて絶句する。
ぞっとした。
恐らく当人達はスリルを楽しむ仲間内のゲームのような、悪戯のような感覚でやったのだろうけど。
私は、知らずに残酷な遊びに巻き込まれていた。
けれど真相を聞けば、ここ最近違和感を覚えていた出来事や今日起きたことも含めて、辻褄が合うのも確かだった。
それはきっと、私が大人しそうで反撃しなさそうでーーーーかつ赤司さんが敵にしたり怒らせたりしてはまずい相手だったから。
なんとなく、彼等にとって、ゲームが成立する難易度としてちょうど良かっただけなのだろう。
「もし咎められても同級生として挨拶や雑談をしていただけと言い逃れできると踏んでいたのだろうね。
何にしても、見られたら一発で参加者や内容が分かるような証拠を自分達で作って持ち歩き、あまつさえ僕に没収されるなんていうのは浅はか、いや間抜けだとしか言いようがないと思うけど」
赤司さんがポケットから出して机に広げたメモ用紙には、参加者であろう生徒の苗字とその横に得点を表すであろう正の字、それとルールが記されていた。
先程挙げられたものに加え、
・いつから付き合ってたのか
・告白のセリフは
・どこまでヤったのか
を水織Aから聞き出す、各3点。
その他何か惚気を聞き出す、各3点。
…聞き覚えがありすぎる項目だ。
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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時