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第250話:強引 ページ14

なんか、やっぱり怖い。変だ。
良くない空気になってきた気がする。
少し強引にでもこの場から離れた方がいいかもしれない。

そう思って、「すみません、」と再び椅子を引いて立ち上がろうとした。


ガタン、


「!?」


椅子は、音を立てて揺れただけで引くことができなかった。
右側に立つ男子が片足で椅子の脚をがっちり固定していたからだ。


「あのっ」

「いいじゃん一個くらい答えてよ。
減るもんじゃないでしょ」


立ち上がろうと机についていた左手が、手首ごと握られる。
握られているというよりは机に押さえ付けられていると言った方が正しいか。
大して力を入れられているわけじゃないのに、ああ本当に嫌なことに、動けない。


「こ……困ります。離してください」


「だからぁ。教えてくれたら離すじゃん。
わかんない?

誰にも言わないからさ。
ね、頼むって」


なんで、執拗にそんなことを聞きたがるのだろう。
私の前の席に座ったのも、課題を持ってきたのも計画的にだったのか。
緑間さんや青峰さんもいない状況を狙って?


……こういう、一人になる機会を窺って誰かが近づいてきた時は、大抵ろくでもないことに巻き込まれている。

私一人では解決しにくい事態、だ。


3人に覆われ、閉ざされた視界。

その向こうから、大声でもなく、けれど確かに凛として響く聞き覚えのある声が聞こえた。





「寄って集って僕の彼女に何の用だ」





「「……!」」


3人が一斉に振り向くと、いつの間にかそこには赤司さんが立っていた。


「雑談にしては品がない絡み方をしているようだが。
Aを困らせて随分楽しそうじゃないか。僕にも関係のある話なら混ぜてくれないか?」


ちっとも混ぜて欲しいようには見えない、赤司さんからの冷ややかな視線にたじろいだ彼らは慌てて手や足を離す。


「なっ……なんだよ。俺達は別に…」

「足元に落ちてる紙は君のか?」


何か反駁しようとした彼の言葉を遮り、赤司さんが床を指さした。
私は課題のプリントでも落ちたのだろうかと思ったのだけど、3人は「えっ!?」と声を上げて過剰に反応し、明らかに焦って足元に視線をさ迷わせる。


(ーーーー紙……?)


それらしきものは私の視界には無かったが、3人のうちの1人が胸ポケットに不自然に手を遣ったことで、赤司さんはそれを見つけたらしかった。


「そこか」


相変わらず美しい所作、目にも止まらぬ速さで男子生徒が押さえた胸ポケットから何かをするりと抜き取る。

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白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時

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