第248話:同級生 ページ12
キーーンコーーンカーーンコーーン…
以下略。
午前中の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
「では、俺は先に部室に行くのだよ」
お昼ご飯の包みを持って緑間さんが立ち上がる。
「はい、私も…15分後くらいに向かいますね。」
行ってらっしゃい、と緩く手を振り彼の背中を見送ったあと、私もお弁当を机の上に広げる。
部室棟まではまぁまぁ距離があるし、もたもた食べてもいられない。
そういう訳で黙々、箸を進めていると、ガタンとややわざとらしい音を立てて誰かが前の席に座った。
目を向けると3人の男子生徒が何かを囲んで集まっているようで、会話の内容から何らかの課題のプリントのようである。
そしてそれは、私がお昼ごはんを食べ終え、お弁当箱をパチンと閉めたその瞬間に、唐突に私の机の上に置かれたのだった。
「……えっ?」
「あっ食べ終わったよね?
ねぇ、ちょっと俺らじゃ分かんないとこあるから教えて欲しくて。いいですか?」
前の席に座っていた男子がくるりと180度向きを変え、「此処ここ、この問題。」と指をプリントに押し当てる。
つられて見れば英語の文章並べ替え系の課題のよう。
言われたことと求められていることはすぐ理解したのだけど、
…えっ、なんで私?
目の前の男子は見知った友人という訳でもなく、語尾にちょっとだけ丁寧語を使う彼の話し方からも、勉強を教えるような間柄では無かったはずということは確認できる。
「えっ、と、あの」
「あ、ごめん!俺隣のクラスなんだけどコイツ頼って来たら分からんって言ってさ」
人懐こい笑顔で眉尻を下げながら、困ったように正面の彼が隣の男子を指さす。
隣に立つ別の男子は、普通にこのクラスの人だ。
と言っても私と親しいとかでもなく、ほとんど話したことはない。
私の前の席の所有者でも、ない。
もう1人は同じクラスではないけど、正面の彼の友人だろうか。
「水織さんならわかるでしょ?
学年3位で、女子トップの。
だよね?」
立っていた2人が私の机の両脇に移動して来る。囲まれる形になってしまって逃げ場もない。
「いいですか」と尋ねてはきたものの完全に教わる気満々で、お願い!と頭まで下げられてしまえば断るなんて到底できなくなる。
でも私はもう、なんていうか、あの、めちゃくちゃこわい。完全に萎縮してしまっている。
こんな時いつもなら助けてくれそうな緑間さんも不在だし。
287人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
白虎 - 赤司くんはやっぱりカッコイイですね〜 (7月21日 10時) (レス) id: eab1ac402f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Mae | 作成日時:2022年4月19日 19時