非現実 ページ13
渡辺side
渡「行ってらっしゃい」
亮「うん」
小学校を卒業のタイミングで退院して行った亮平。
5年以上も一緒にいたらそら寂しくなるわけで、俺も目黒もラウールもそう簡単には見送り出せなかった。
心も体も大きくなって、最終的に俺たちが構うのも鬱陶しいって言われるくらいになっちゃって。
誰かが隣にいないと夜は眠れなかった亮平が、今は眠れない下級生に読み聞かせをしてあげてる。
あぁ、もう俺たちがいなくてもいいんだ。
亮平は亮平だけの力で少しずつ強くなった。
ひたすらに安心できた。
だから「ばいばい」じゃなくて「いってらっしゃい」って言ってあげられた。
亮平のいなくなった病棟では、りょうは？りょう兄ちゃんは？と聞かれることが多くなって、その度に中学生になった亮平に伝えてあげたくなった。
そう。
そうやって一年が過ぎ、秋に差し掛かった頃の事だった。
だいぶ背の伸びた亮平と、再会した。
真新しい制服に身を包んで、お母さんと共に現れた。
亮「……」
渡「亮平……久しぶり、おっきくなった」
亮「なんで」
俺の言葉を遮るように呟いた亮平は、俯いてた顔をゆっくりあげた。
ずいぶんと大人になった顔は、きらりと悔し涙を浮かべていた。
亮「なんでっ…普通になれないのっ……！」
中学校に入学した亮平は、大きな環境の変化に着いて行けず、癇癪、自傷行為、家出など、周りの人をも巻き込む事態にまでなって強制入院となったらしい。
中学生はもう“児童”ではないから、俺の病棟ではなく一般病棟に入院することになるんだけど、どうしても俺に会いたいって聞かなかったらしくて、こっちに来てもらった。
こんな時でも、大きくなってもまだ俺に会いたいって思ってくれることが嬉しくて。
でも亮平はここに戻ってくることなんて望んでなかったはず。
中学生になって、新しい友達を作って、大好きな算数……じゃなくて数学の授業も受けられるはずだった。
そんなタイミングでまた入院。
決められた時間に決められたことをして、決められた食事を食べさせられて。
俺だけでも入院しなくていいよ、って言ってあげたかった。
どういう縁か、急遽一般病棟との掛け持ちを言い渡された俺は人生で2度目の亮平の主治医になった。
残念ながら目黒とラウールまでは着いて来れなかったんだけど、勤務終わりに様子を見に来てくれたりすることはある。
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おいぬ(プロフ) - チェリーさん» メッセージに送らせて頂きました( ᵕᴗᵕ ) (10月12日 22時) (
レス) id: e34387800d (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - コメ失礼します。sugar and saltという小説のパスワードを教えて頂けますか？ (10月12日 17時) (レス) id: 5958ebef62 (このIDを非表示/違反報告)
おいぬ(プロフ) - ぽぽぽさん» わぁ〜本当ですか！とーっても嬉しいです( "̮ )マイペースですがこれからも読んで頂けたら嬉しいです( .ˬ.)" (2022年12月15日 20時) (レス) id: e34387800d (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽぽ - コメ失礼します。いつもほほえましく読ませてもらってます！おまけと言っても面白い話で、ありがとうございます。これからも応援しています！！ (2022年12月15日 19時) (レス) @page28 id: ae6b64ffe5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おいぬ | 作成日時：2022年8月31日 20時
