８. 世界線 / side 及川 ページ9
.
Aの横に立つのは俺じゃない、そんなこと分かってるよ。フラれたくせに未練がましい奴だって思われたって仕方ない。だけど、そんなこと気にしてられないくらい、Aのことになると周りが見えなくなるんだ。
……でもね、Aに無理させたいわけじゃないから、傍にいられなくてもAが幸せでいてくれるのならそれも良いかな、なんて。
ありがとう、好きだよ。
「ねーーー、岩ちゃん！聞いてる？無視しないでよ〜！」
「うっっっっせぇ!!!!」
「酷っ、岩ちゃんも金田一みたいに優しくしてよ！」
「俺は金田一じゃねぇから無理だな」
「ド正論やめて!?」
岩ちゃんは俺の気持ちを知ってるけど、根掘り葉掘り聞いてきたりしない。そんな岩ちゃんにいつも救われているんだ。
『あ、岩泉、同じ委員会の女子が呼んでたよ！』
「マジか。サンキュ、行ってくるわ。」
『いえいえ〜』
少し気まずそうなAの表情、付き合ってたときは俺の前であんな顔しなかったのに。……いや、俺が我慢させてたのかな。
「ま……待って！」
『えっと、及川……何？』
「Aが好き、って前に言ったでしょ？」
『あ……うん。』
「返事いらないからね！」
『え』
「正直、Aにフラれたって好きなのやめらんないし。」
『……そっか。』
「友達だった時みたいに笑えるようになってみせるから！そのときまで待っててね！」
『及川らしいね……うん、ありがと。』
君が隣にいなくても頑張る、流石にまだ無理かもしれないけど。いつか、君のいない世界にも慣れてみせるよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 204人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羽瑠 | 作成日時：2021年10月10日 14時
