【HQ】君と私が並ぶ未来【及川徹】 (ページ7)

今日:6 hit、昨日:5 hit、合計:26,473 hit

６. 透明涙 / side 及川ページ7

.

中学３年生の終わり、中学から高校へと歩んでゆく時期。そんなとき、俺はAにフられた。
初めて自分から好きになった子だったから、告白された時はほんっとうに嬉しくて、今までのどんな愛の言葉より嬉しいって言っても偽りじゃなかった。今までの彼女には悪いけど、思わず即答しちゃった。

『徹が好き。』

「っえ、あの、ドッキリじゃないよね？」

『違うよ。』

「俺も好き…好きだよ！付き合お！」

Aには幻滅されたくないから、カッコよく返事できたら良かったんだけどさ。俺は俺自身が思うよりもAが好きみたいで恥ずかしくって、嬉しくて、胸がいっぱいだった。

『うん、よろしくね。』

俺一人に向けて笑った、その事実に嬉しくなって思わず抱きついちゃった。

.:

俺達は中２から付き合ってたんだけど、Aはどんどん可愛くなって不安で仕方なかった。俺は部活があるから家まで送ってあげたりもできなかった。「寂しそうな顔しないでよ」なんて、俺が言えることじゃないか。

『ねぇ、及川……別れよっか。』

だから、フラれちゃったのも仕方のないことなのかな、Aは俺なんかが縛ってていい子じゃない。もっと自由に誰かを好きになって、運命の恋をするんだ。そう、思い知らされた気がした。

「何で？って、俺のせいか…ごめんね。」

『違うの、高校離れちゃうから、及川のせいじゃないよ。』

「え、そうだったの？勝手に一緒だと思ってた…。」

『うん…ごめんね、ばいばい。』

ただ、それだけが理由じゃなかったんだろうな。って目の前の景色が色を失う中で変に冷静に分析していた俺は、きっとAを想うあまりおかしくなっちゃったんだよね。

でも、考えて、それが分かったところで引き止めたりできるはずなかった。だけど、寂しそうなAを見ていると、懺悔と後悔に心が押し潰されそうだったのを覚えている。

.