俺の焼きたてメロンパン冷めるんだけど【名探偵コナン】

メロンパンの独白 ページ6

俺の話をする前に、まず俺の親の話をしておこうか。





母さんは、朗らかでおおらかな常識人。

どっかの企業で経理の仕事をしてる。あとちょっとで定年退職を迎えるらしい。




父さんは、警察官だった。

爆発物処理班に所属していて、エースだったんだと父さんの友人に聞いたことがある。

で、この父さんがまあぶっ飛んだ人で、最終的にぶっ飛んじまったわけなんだけどさ。

爆弾処理の腕はたしかだけど、仕事中もすぐフラーっとどっか行く、自由っぷり。

今思えば俺の性格は父親の遺伝なのかもしれない。







一応言っておくが、この頃の俺は、一人称“僕”の真面目な良い子ちゃんだ。

だから親戚からは父さんに全然似てないし、似ない方が良いとよく言われた。

けど俺は、自由で、常識がないのにどーでもいい雑学ばっか持ってる父さんが大好きだった。








＿＿20年前、そんな父さんが死んだ。

自分１人で十分だと仲間を全て外に追い出して爆弾解体に取り掛かり、そして殉職した。

父さん以外にその爆発で死傷者は出なかった。







お葬式の時、父さんの同僚の人が赤くなった目で言ってた。







『お前の父ちゃんは強かったんだぞ。たぶん解体できないってわかってたんだ。けど、最後の１秒まで爆弾犯に負けてたまるかって食らいつきに行ったんだ。な？強い子になれよ、A君』






その数日後、俺は父さんの遺品の鞄から捜査資料とメモを見つけた。

父さんは同じ爆弾犯の爆破で死んだ友のために、爆弾に立ち向かった事を知った。そして、敗れた事も。




ふつふつと怒りににた何かが湧き上がり、俺は父さんのメモやファイリングされた捜査資料を読み込んだ。犯人を突き止めようと躍起になった。

そしてついに俺は辿り着いた、父の仇に。





これが、たかだか９歳の少年、浅見Aの最初の事件だ。








『探偵は一度やったらやめられない』と言われてるが、まさにその通りで、俺は探偵の面白さに気づいた。

事件を解決した時の快感に酔いしれて、次々と大きな事件を解き明かしていった。





次第に世の中に浅見Aという探偵の存在が知れ渡っていった頃だった。

俺が新聞で羽田浩司殺人事件を見たのは。

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