温もり よそじ あまり みっつ ページ43
＊
すると奈子は私の隣に座り込んだ。
「それにさ」
急に奈子の声色が暗くなる。
私はゴクリと唾を飲み込んだ。
「その人、もうすぐ死んじゃうんでしょ？」
奈子の言葉に、今度は息を呑む。
私はゆっくりと頷いた。
「だから今の内に」
息をつめたまま次の言葉を待つ。
「お姉ちゃんから離れておきたかったんだよ」
離れて、おきたかった・・・？
私はうつ向いて考え込む。
どうして私から離れたかったんだろう。
「離れておかなきゃ、自分が死んじゃう時にお姉ちゃんを悲しませるから」
奈子は私の考えを見透かしたように口を開いた。
「お姉ちゃんが大切だからこそ、お姉ちゃんから離れたんだよ」
奈子の一言でハッとする。
そうか、そうだったんだ・・・
「だから翼はあんな風に・・・」
とても苦しそうに言っていたんだ。
「その人はお姉ちゃんに嫌われてでも、お姉ちゃんを守りたかったんだよ」
ジワジワと涙が溢れてくる。
翼は私を守ろうとしてくれたんだ。
それなのに、私は・・・
「私、勘違いしてたみたい」
涙混じりの声で奈子に話しかけた。
「いっぱい勘違いしていいと思うよ」
奈子はゆっくりと前を向く。
え・・・？
「勘違いしても、こうやって正しい答えを見つけられるんだから」
私は驚いて奈子を見た。
「それに、その勘違いはお姉ちゃんの為にさせた勘違いだしね」
奈子はニッコリしながら私を見る。
「お姉ちゃん、たくさん愛されてるんだね」
あぁ・・・
もう我慢できないや。
私は両目から涙を零れさせた。
そんな私を奈子は優しげに見つめる。
「きっとその人、お姉ちゃんの事が大好きなんだよ」
拭いても拭いても涙が止まらない。
顔がグシャグシャになっていく。
「いいなぁ。奈子も智君とそんな風になりたい」
その日、私は久しぶりに大声をあげて泣いた。
奈子がお姉ちゃんとなり、私が妹となって。
その時間だけ私はお姉ちゃんをやめた。
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ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (
レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます！では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです！全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます！ (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームＫＺ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます！ (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：smile | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時：2018年2月23日 18時
