温もり よそじ ページ40
＊
家の中に入ると、お兄ちゃんがこっそり話しかけてきた。
「あいつ、どうだった」
あいつ、とは翼の事だろう。
「助かったけど・・・」
助かったのは一時的なもの。
いつまで持つか分からない。
「あいつ何か病気持ってるだろ」
お兄ちゃんが暗い声で呟いた。
え・・・
どうして分かるんだろう。
「今日倒れたのは呼吸困難が原因か？」
私は黙って頷く。
お兄ちゃんはやっぱりと言うように顔をしかめた。
「過呼吸じゃなくて呼吸困難なら、そいつは病気持ちだ」
そう、なんだ・・・
お兄ちゃんはあの時間で、翼が病気を持っていると見抜いたんだ。
私は自分の無力さを実感して下を向く。
「悪い」
・・・えっ
お兄ちゃんの言葉に、驚いて顔をあげる。
「どうして謝るの」
お兄ちゃんは悪くないし、むしろ助けてくれた。
悪いのは私の方なのに・・・
「あいつってお前の大事な奴だろ」
大事な奴・・・
私はその言葉に頷けなかった。
私が大切だと思っていても、翼がどうかは分からなかったから。
私が一方的にそう思っていただけなのかもしれない。
「今日だけじゃなくて前にも会った事があるんだが」
お兄ちゃんはそこまで言って下を向いた。
「その時にも異変はあったんだ」
異変・・・？
私はお兄ちゃんを見上げる。
何か、あったの・・・？
「一瞬倒れそうになってた」
嘘・・・
驚きのあまり、声が出ない。
前にも倒れかけてたの・・・？
「そん時に気付いてたら、今日お前を怖がらせることはなかったかもしれねぇ」
お兄ちゃん・・・
いつもブスッとしているお兄ちゃんが、私の事を考えてくれている。
それが分かって胸がジーンとした。
「ありがとう」
普段ならビクビクしながら言っていた言葉が、自然と出てくる。
今のお兄ちゃんも、昔と変わってなんていなかった。
ずっと優しいお兄ちゃんだったんだ。
「いや、悪かった」
そう言い残して、お兄ちゃんはさっさと階段を上がっていく。
その背中を見つめながらふと思った。
翼・・・
まだ何か隠してるのかな・・・
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ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (
レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます！では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです！全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます！ (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームＫＺ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます！ (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：smile | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時：2018年2月23日 18時
