温もり みそじ あまり ここのつ ページ39
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そう言うと、上杉君はすぐさま背を向けて歩き始めた。
「送ってくれて、ありがとう」
急いでその背中に声をかける。
上杉君は、一瞬こちらを振り向いて片手をあげた。
ん・・・
なんか、かっこいいかも。
闇夜に溶け込むように去っていく上杉君がとてもかっこよく感じた。
「アーヤッ!」
うわっ!
しばらくボーッと立っていると、家から誰かが飛び出してきた。
驚いて勢いよく振り返る。
「貴女、秀明にも行かずにどこ行ってたの!」
カンカンに怒ったママが私を睨み付けながら怒鳴る。
うっ・・・
「あの・・・」
「しかも、こんなに遅くなって帰ってくるなんて!」
口を開こうにもママが聞く耳を持たない。
えっと・・・
どうすれば良いんだろう・・・
「貴女ねぇ、たっかいお金を払ってまで秀明に行かせてるのよ!」
ママは家の前で大声をあげ続ける。
・・・言い訳すら出来ない。
「行きたくないならやめさせるけど、それでも良いのね!」
それは困るっ!
「ご、ごめんなさい。秀明はやめたくない!」
ほとんどすがり付くように叫んだ。
すると、後ろから頭を小突かれる。
「夜中にうるせぇ。近所迷惑」
後ろから現れたのは、部活終わりのお兄ちゃんだった。
「お兄ちゃん・・・」
「あら裕樹、おかえりなさい」
私の時とは全く違う反応をするママを軽く睨む。
なによ、私の時は怒ったくせに。
「裕樹は男だし、良いのよ」
・・・理不尽だっ!
ブスッとして横を向くと、お兄ちゃんがすれ違い様にママに言った。
「こいつ、今日はいろいろ大変だったんだよ」
え・・・
私は驚いてお兄ちゃんを見上げる。
お兄ちゃんは目が合うと気まずそうにそらした。
「それに、俺が行くように言ったし」
お兄ちゃんがそう言うと、ママは態度をコロッと変えた。
「あら、そうだったの。じゃあいいわ」
いいのっ!?
私は唖然としてその場から動けない。
「ほら、早く入りなさい。夜はまだ寒いんだから」
さっきまで怒っていたママはどこへやら。
ニコニコしながら家の中へ入っていった。
私はお兄ちゃんと顔を見合わせる。
ハァ・・・
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ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます!では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです!全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます! (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームKZ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます! (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時:2018年2月23日 18時