貴方の腕の温もりは

温もり みそじ あまり ななつ ページ37

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段々と家がある方へ歩いていくと、外灯が減ってきた。




もう夜が遅いのもあり、人もほとんど歩いていない。




結構、怖い・・・




歩くスピードを少し速める。




そこへ冷たい風がヒュウッと吹いた。









「さ、むい・・・」









今は4月の下旬で、春も終わりそうな頃。




もうすぐ夏だと言うのにまだ肌寒い。




暗いし寒いしでかなり恐怖心が増してくる。









　









「あれ、立花？」









　









わっ！




背後から急に声をかけられてビックリする。




ギギギッと首を動かし振り返ると、上杉君だった。









「ハァァ・・・」









安心して息を吐き出すと、上杉君はギョッとしたようにこっちを見る。









「え、俺なんかやった？」









うん。驚かした。




そう思ったけれど口には出さない。




・・・怒られそうだったから。









「つか、何でお前ここにいんの？」








思い出したように上杉君が口を開く。




え、何でって・・・









「今、9時だぞ。秀明は？」









・・・あ、そうだった。




じゃあ何で上杉君はここにいるの？




上杉君の方を見ると、見透かしたように口を開いた。









「俺は今日、フケたから」









何でもないと言うように軽く言っていた。




なんか、いいなぁ・・・









「お前は？」









えっと、私は・・・




口を開こうとして止めた。




これ、言っちゃダメだ。









「あ・・・」









不自然に止まった私を上杉君は不思議そうに見る。








「ん、どした」









・・・何か言わないと、マズイよね。




無言のままでいると疑われそうだし。




えっと・・・









　









「が、学校で寝てた・・・」









　









「・・・は？」









　








あ、なに言ってんだ、私。




そう思った時にはもう遅く。









「え、9時まで学校で寝てたの？」









上杉君が見事に硬直していた。




なんでもっと良い言い訳を言えなかったんだろう・・・









「・・・あ、だからお前、目が腫れてんだ」









目が腫れてる・・・？









“今日、泣いてばっかりだな・・・”









あぁっ！




慌てて顔の前に手を持ってくる。









「もう遅いって」









少し笑いながら上杉君は、私の頭を軽く小突いた。









　









「ははっ。暗いし、送るわ」

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