温もり みそじ あまり いつつ ページ35
*
はっきりと、拒絶された。
「ど、して・・・?」
嘘だ。
嘘だ、嘘だ。
「嘘、でしょ?」
きっと悪戯だ。
たちの悪い悪戯だ。
そう、思っていたのに・・・
「いや、本気」
翼はうつ向いて小さく呟いた。
「ここに来られると、迷惑だから・・・」
表情が見えない。
本当にそう思っているのだろうか。
私は絶句したままあれこれ考える。
「そ、う・・・」
色々考えても結局、結論は出なかった。
「分かった」
私は席を立ち、黙って扉へ向かう。
これが翼の出した答えなんだ。
そう考えてひたすら耐える。
「・・・じゃあ、お大事に」
振り返っちゃダメ。
顔を見るな。
余計な事を言うな。
早く、部屋から出ろ。
扉を開けて、病室の外へ出る。
何も考えるな。
何も言うな。
扉が、閉まるまでは。
「・・・大好き」
扉が閉まりきる直前。
抑えきれずに言葉が漏れた。
翼に聞こえたかなんて、分からない。
・・・いや、聞こえてなくても構わない。
「は、はっ・・・」
自嘲的な笑みが漏れた。
かと思えば、今度は視界が滲んでくる。
私、何してんだろ・・・
扉に背を預けて静かに涙を流す。
「何も言うなって、考えてたのに・・・」
どうして最後まで堪えられないかなぁ・・・
これじゃあ、ダメなのに。
「もう、帰ろ・・・」
もたれていた体を起こし、静かな廊下を歩き始める。
今はもう帰りたくないなんて思ってなかった。
むしろ、早くこの場から離れたい。
「あら、彩ちゃん」
待合室にはお母さんがいたけれど、話す気にはなれない。
「もういいの・・・って、流石に遅いわよね」
綺麗に微笑むお母さんを見て、私は目を伏せた。
なんだか気まずい・・・
「そうですね。この辺で失礼します」
ぎこちない笑みを浮かべて、入口のドアへと向かう。
「また来てあげて」
温もり みそじ あまり むっつ→←温もり みそじ あまり よっつ
38人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます!では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです!全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます! (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームKZ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます! (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/
作成日時:2018年2月23日 18時