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温もり とお あまり ふたつ ページ12






「お前ら・・・」




若武の声は低く、とても恐ろしいものだった。




私と翼を交互に睨み付けていたが、最後に私で視線を止めた。




「KZは男女の性別を超え、お互いを成長させるグループ」




若武は、ひとつひとつを押し付けるように言葉を重ねる。




「そう言い出したのは、アーヤだよな?」




うっ・・・




「言い出しっぺがそれを破って良いのかよ」




確かに、その通りだ。




言い出したのは私。




後ろめたい気持ちになり、さらにうつむく。









あっ・・・









ここで、思い出した。




黒木君が言っていた言葉を。




『男女の性別を意識することだって、人間としての成長だろ』




これだっ!




この言葉を若武に突き付けるため、顔をあげる。




口を開き、息を吸った瞬間




その瞬間に、若武と黒木君が僅かに口角をあげた。









これ・・・




ひょっとして、罠?




口を閉じて、冷静に考える。




ここで反論したら認めているようなものだ。









バカ武・・・!









ふぅ・・・




もう少しで若武劇場にはまるところだった。




「言いがかりはやめて。さっきから違うって何度も言ってるじゃない」




そう口にすると、若武があちゃーと言うように顔をしかめた。




けれどすぐに鋭い目付きに戻り、口を開く。




「本当にそう言い切れるか?」




今度は挑発するような口調になった。




「あとで付き合ってたって分かったら、除名するぞ」




フンッ、もう引っ掛かるもんですか。




「したいなら、すれば良いじゃない」




今までは俺のものだ!って散々喚いてたのに。




自分以外とそうなったら責めてくる。









「だとよ。お前の負けだ、若武」




上杉君が話を切り上げるように口を開く。




「スゴいね、アーヤ。引っ掛からなくなったんだ」




小塚君もニッコリしながら頷いた。




「ね、もう俺帰っていい?」




忍は若武を見て、許可を求めている。









そんな皆の様子を見て諦めたのか、若武はため息をついた。




「ハァ・・・」




一気にやる気がなくなったのか、背もたれに身を預けた。




そのまま吐き出すように、一言。




「・・・解散」




このままここに居ても危険そうなので、素早く席を立つ。




「じゃ」




一応声をかけて、カフェテリアを出た。









次の授業、数学だ・・・




若干ブルーになりながら、自分の教室へと足を速めた。

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ミラゴン - もう、感動して涙が止まりません。こんなにも感動する話は、こんなにも涙が止まらない話は初めてです。改めて恋、友情、そして、命について、考えさせられるお話ですね。また更新されるのを心待ちにしています。 (2019年2月25日 20時) (レス) id: 5ed9be59f6 (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - ありがとうございます!では、載せますね。お返事ありがとうございます。 (2019年1月15日 20時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
ニコ(プロフ) - Kokone♪さん» Kokone♪様、初めまして。わぁ、お誘いいただきとても嬉しいです!全然構いませんよ。わざわざ報告していただきありがとうございます! (2019年1月15日 19時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)
Kokone♪(プロフ) - smireさん、はじめまして。私、kokone♪申します。こちらの作品を、『泣けるお話、集めてみました。【探偵チームKZ事件ノート】』という私の作品に載せたいのですが、よろしいでしょうか。本当に泣けるお話なので、是非とものせたいです。お返事、待っています。 (2019年1月15日 17時) (レス) id: 1acdcbf3ab (このIDを非表示/違反報告)
smile - クローバーさん» クローバーさま、コメントありがとうございます。時には更新をしなかったり、一度に大量更新したりと不規則でしたが、ついに続編までいけました…(汗) 応援ありがとうございます! (2018年3月27日 15時) (レス) id: d18177599f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:smile | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Niko-hp/  
作成日時:2018年2月23日 18時

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