殺戮に囲まれた地獄のマフィアライフ(仮) ページ10
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確かに言った。
確かに私は殺戮に囲まれた地獄のマフィアライフとか何とか言ったよ?
けどそれはその時のマフィアのイメージというか、その場の雰囲気というか…。
だってマフィアの仕事内容に幼女の相手とかあるの知らなかったし。
「サリ、似顔絵描きたいからこっち向いて!」
「はあ、エリス嬢……」
目線を感じながらエリス嬢の方を向けば、早速私を描き始める。
「もっと笑ってよ!」
「よ、よろこんで」
後ろに奴がいた。
首領がポケットからカメラを取り出したのを見て私はエリス嬢に言う。
「あの、エリス嬢…」
「何?」
「こちらの方が影がないので描きやすいと思うのですが…」
「そうね、場所変わりましょ!」
首領がものすごい勢いで親指を立てるのを見て、ドアからエリス嬢に被らないように座った。
エリス嬢から絵をもらったり、お菓子を食べたりして、私はマフィアライフの第一歩を踏み出した。
安心していた矢先、首領から呼び出しを食らった。
何か粗相があっただろうか。
不安と恐怖に震えながら執務室の前に立つ。
「……首領、あの、安部です」
「リンタロウキモいわ!」
「酷いよお、エリスちゃん」
「あの、安部なんです、けど……すみません…」
初めて来た時と完全にシチュエーションが一緒だった。
ドアの前をうろうろしていると、足音が近づいてきた。
「あ?安部か」
「え、中原さん」
この人には多少の恨みがあるので助けを求めることはしなかったが、何となく察したようだった。
「あー、こういう時はな、気にしちゃだめだ」
中原さんは慣れたようにノックをする。
「首領。中原です、入ります」
そのまま返事を待たずにドアを開けて入ってしまった。
話し声がぴたりとやむ。
何やらこそこそ聞こえた後、改まったような首領の声が聞こえた。
「さて、中原君。…安部君は?」
「……おい、安部」
呆れたような中原さんの声にそろりと部屋の中に入る。
ガチガチになりながら中原さんの斜め後ろに立つ。
「エリスちゃんの相手をしてくれて助かったよ。おかげで可愛い写真もたくさん撮れたし……」
語りだしそうな首領に中原さんが一つ咳払いをした。
「……それでね、本題なんだけど、君の所属が決まったよ」
ぱちぱちと瞬きをする。
私は中原さんの所属じゃなかったのか。
そうだと思って生きてたんだけど。
ここからが波乱を呼んだ。
「所属は中原君のところだけど……異能は太宰君に見てもらいなさい」
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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年10月1日 22時