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青年 ページ3

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手首の痛みで目が覚めた。

なんだなんだと手首を見れば、紅いものが手首の周りをぐるぐる回っている。

どうやら拘束されている、らしい。

不思議なのは、その紅いものが私の手首から出ていることだ。


「血……?」


誰にともなく呟けば、思いがけず返事が返ってくる。


「そうさ」


男の声だ。

はっと前を見れば、薄暗い中でもわかるほど色素の薄い髪をかき上げ、青年が壁にもたれていた。


「君の血だよ」

薄く口角を上げる青年に、寒気を覚える。


もしかして、この男が、武器密輸人?

そんな疑問が顔に出ていたらしい。

「ぼくは君たちが探してる密輸人じゃない」

その次に発せられた言葉に私は驚かざるを得なかった。


「ついでに、その密輸人は国外に脱出済みだ」


私の顔が余程面白かったのか、それともマフィアを出し抜いたことに優越感を覚えたのか、青年は小さく笑った。


しかし、なぜそこまでの情報を?


それをまた心を読んだように青年が言う。

「ぼくが偽の情報を流したんだ。その密輸組織とはグルでね。まあ、利害の一致ってやつかな」


その言葉に、唇を噛んだ。


それが本当なら、中原さんは今頃どうしているだろうか。

どのくらいの時間が経っているかはわからないが、流石に私がいなくなったことには気づいているだろう。


とにかくここを脱出しよう。

そう思い、不幸中の幸いか、足は拘束されていなかったため、立ち上がる。



はずだった。

腰が地面から離れたと思えば、押し戻されるように尻餅をついてしまう。

そこまで自分は体幹が悪かったか、と思いながら再び試すも、結果は同じ。


「無駄だよ」

その声に顔を上げれば、青年がこちらに手をかざしていた。



「ぼくの異能力だ。君はぼくの支配下」



微笑を崩さずに言う青年。

そこで引っ掛かった。


中原さんから異能力の存在は聞いている。


‟ただ、手前には効かねェみたいだ。そのおかげで命拾いしたな”


後半の意味はよくわからなかったが、とりあえず私には効かないらしい。


ならどうして。


「意識が無かったからじゃないの」


…もはや心を読まれることに抵抗はなくなった。


「ぼくの異能は、相手の行動を制御できる。だから、意識が戻った今でも君の異能の発動を抑えていられる」


そんなの抵抗のしようがない。

脱出は諦めた。


そうすると私に残された方法はひとつ。

救出を待つのみ……!

人質の独り言→←任務=登山(?)



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作者名:のーと。 | 作成日時:2018年10月1日 22時

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