名言的な恩師的な ページ1
.
鈍い音と共に壁に叩きつけられる。
今変な音したよね。
絶対人の体から鳴っちゃいけない音だったよね今の。
「反応が遅ェ」
弱冠12歳のか弱いJCを蹴り飛ばしたうえに文句をつける帽子を被った男。
私をマフィアに引き入れた張本人の中原中也である。
ちなみに友人の最推しは彼だ。
全くもって共感できない、顔はいいけど。
急に薄暗い倉庫に連行され、「まずは手前の実力を見る。手前のタイミングで適当に攻撃して来い」とか言われたからとりあえず小学生のメガトンパンチを繰り出してみたら冒頭に戻るって感じ。
何も蹴り飛ばすことなくない？
「手前はまず受け身からだな」
思考回路が完全に壊れてしまい「おっ、変な音した場所見つけたじょー」とか考えてたらいつの間にか目の前に来ていた中原さんがそう言った。
無表情の中原さんに死を覚悟した瞬間だった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
それからはほとんど記憶がない。
思い出したくもない。
受け身の練習を三十分しただけでマフィアきっての体術使いに勝てると思いますか？
思いませんよね？
そういうことです。
結局最後までまともに攻撃を受け止められなかった私を助け起こして、中原さんが言った。
「痛かったか？ごめんな」
帽子を被りなおしながら再び口を開く。
「けどよ、裏で生きてくには自分の身は自分で守れるようになンなきゃなんねェ。…強くなれ、安部」
わあ、名言ーとか思ってた反抗期前の自分を殴りたい。
よくよく考えれば黒社会に引き入れたのは此奴じゃないか、何恩師になるフラグ立ててんの、何あとで窮地に陥ったときこの言葉思い出すみたいな感じになってんの？？
違うんだって、飴と鞭効果とか全然成り立ってないんだって！
＿＿＿安部Aの中三の時に四日間だけつけた日記、三日目より引用
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 115人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のーと。 | 作成日時：2018年10月1日 22時
