脱出劇 ページ5
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「お腹空いた？空いたよね、ちょっと待ってて」
彼が唐突にそう言って部屋を出て行ったのは午後７時、健全な中学生ならもう夕飯を食べ始めている時間のことだった。
ずっと監視してたやつが部屋を出て行ったなら誰もが思う。
これはきた(確信)
例に漏れず私も逃げようとした。
そう、逃げようとしたんだ。
両手が不自由な状態でやっとこさ立ち上がり、こっそりドアを開けてどっかの窓かなんかから逃げようと思って、廊下に出た。
普通の家だった。
なんとなくうちと構造が似ているような気もしなくもなかったが、とりあえずそろそろと隣の部屋に入った。
窓があったのはよかった。
その後がよくなかった。
「……マンションとか聞いてないんだけど」
その建物は高層マンションだった。
舐めてた。
「残念だったね」
声がした方を振り向けば、にこやかに青年が立っていた。
にこやかなのににこやかじゃなかった。
目が笑ってないとかじゃないし、怖いどころの話でもなかった。
これは戻ったら殺されるぞと。
前に行っても後ろに行っても死ぬぞと。
思ったんです！私は！
つまり、普段では考えられないような行動に出たということですね。
順を追って説明しましょう。
�＼椎�を見つめたまま後退
��後ろ手に窓のカギを開ける。
�Ａ襪魍�け放ちダイブ！← now!
後悔してるよ！
一瞬で我に返ったもん。
でも、あのままぐずぐずしてたら爪剥がされそうな感じだったし、馬鹿だったかと言われればそうとも言い切れないけど、あの、やばい。
あと数秒もしないうちに地面に叩きつけられる未来が見えた。
そうだ、遺言を残すことにしよう(冷静)
「なんで私んちの１階下に誘拐犯いるんだよ！！そして私はなんで気付かなかったんだよ！！！」
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作者名：のーと。 | 作成日時：2018年10月1日 22時
