ホントの気持ちー未来への選択ー【Ⅰ】 (ページ23)

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23.千秋楽① ページ23

それから千秋楽まではあっという間だった。

2日目以降は、初日の過ちを繰り返さないように気を付けた。(足に力が入らないなんてことにはならなかった。きっと初日だから気をはってたのかも…)

後にSNSをチェックしたところ、初日公演を観劇した人でカーテンコールでの私の違和感に気づいた人がいたみたい(主に江口さんファン)、…やっぱりバレるか。
江口さんも鳴ちゃんもずっと支えてくれてたからなぁ……

千秋楽にはバイト先の店長と奥さんが観にきてくれた。
終演後には楽屋に挨拶に来てくれたのだが、1歳の息子さんを連れていらした。

『わー！初めまして！』

店長「こんにちはって言うんだよ。」

奥さんに抱っこされ、私を見つめる。
小さい～。

『息子さん、ずっと一緒にいたんですか？』

店長「いや、劇場来る前に俺の実家に預けてきたんだけど、帰りにみんなで飯行こうってなって。舞台おわるタイミングで両親に連れてきてもらった。せっかくだし、最上さんに会わせたいなって思って。」

『ありがとうございます！私も息子さん、会いたいなって思ってたんです。』

奥さん「最上さん！もう、凄かったよ！私の知ってる最上さんじゃなかった！なんか、嬉しいんだけど寂しい…こうやって大きくなっていくのね(泣)」

店長「本当に凄かった。今まで何回か舞台観に行ったけど、やっぱり年々上手くなってるよね。」

『ありがとうございます。そう言っていただけると励みになります』

店長「これからも、また何か出演する時は教えて。じゃ、そろそろ俺たちは失礼するよ。」

奥さん「ちょっと待って。最上さんごめん、お手洗いってどこかな？産後やたらお手洗い近くなっちゃってさぁ(汗)」

『こっちです。』

楽屋を出て、お手洗いの場所を説明する。

奥さん「あ、せっかくだから最上さん抱っこしててよ。」

『え！！大丈夫かな…。泣かないですかね？』

奥さん「泣いたっていいのよ、赤ちゃんなんだから。気にしないで(笑)とりあえず行ってくるからよろしく。」

そう言って、私に息子さんを預ける。
なんだろう、このふんわりしたにおい。
赤ちゃん特有のものなのかな。