ル ー レ ッ ト ガ ー ル 【浦島坂田船】

俺が思うには ページ20

urata_side


今、俺の目の前にいる黒髪セミロングの女はAと言ったか。


彼女はビリヤードのキューを睨みつけ、自分が打った玉の行き場所に悩んでいた。


彼女の黒髪は何にも染まらないようで

彼女の目はは真っ直ぐ未来を見据えていて


一目で惹かれるような人ではなかったが



俺の心の中の何かが小さく跳ねた。




彼女には勝ってもらわないと困る。
俺がここのリーダーになって数年。

やっときたギャンブルが終わるチャンス



…♧派はギャンブル嫌い、
基本争いたくない主義が揃う。

苦手だからやりたくないとかじゃなくて基本争うのがめんどくさいとか、そんな感じだ。


かったるい4人の戦いも毎年続くと飽きてきてしまう

そんな中今年だけ、異例に彼女がやってきた。


…やっと終わる。



そう思ったのに彼女はビリヤードが驚くほど下手で、


いや、驚くほど下手であったが





…天性の才能を感じた。


玉を突き方からして初心者であることは明確なのに
玉へ掛る重力、ぶつかった後に動く玉の距離など細かなところを自然に計算していた。

当の本人は気づいていないが天才と言っても過言ではない。


数を重ねれば俺たちは抜かされてしまうだろう。




彼女なら、そう思ったのに

二人で話した時に感じたギャンブルへの興味のなさと


誰かを一筋に思うその視線が、

自分の中の何かを苛立たせた。


彼女への期待を裏切られた気持ちになったのは、

多少でも彼女へ期待したからなのだろうか。


そのセミロングの髪から見えるループタイに♧の装飾をつけたいと思った。

優しいんですね→←クラブ派のリーダー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す