好きだから見せる表情 ページ4
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鍵を開ける音とドアが開いて閉まる音で
彼が帰ってきたことに気づき
玄関に向かったけれど、明らかに何かあった表情。
男らしい彼だからきっと、女の子に弱いところを
見せたくないのだろうけど。
そんな彼がただいまを言わずに、
力強く私を抱きしめてくるのはよっぽどだ。
「淳太くん、?」
「ごめ、もう少しだけ」
「ん、よしよし」
綺麗な栗色のさらさらな髪の毛に指を通していけば
優しく香る私と同じシャンプーの香り。
「っはあ、」
「淳太くん、とりあえずリビング行こ?手洗って?
淳太くん好きなお茶入れてあげる」
「…ありがとう」
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色違いのマグカップにハーブティーを入れて
持っていけば、もう既にソファに座り急かすように
ぽんぽんと隣のスペースを叩く彼。
「お待たせしました〜」
「ありがとうね?でも、早く隣きて」
私からお盆を抜き取りローテーブルに置いたなら、
手首を軽く握って引っぱって。
「わっ、」
彼に飛び込むような形になって
慌てて体重をかけないように離れようとしたのに
それが出来なかったのは、
彼が離してくれなかったから。
「あのな、」
「俺やっと、やりたかった仕事任せれて、」
「うん…」
「なのに結論から言えばミスしちゃって、」
「周りのみんなはフォローしてくれたけど
申し訳なかったし、なにより悔しくてさ。」
「ほんまあかんなあって」
「淳太くん?淳太くんはすっごくカッコイイよ?」
「…え?」
「なんでもサラッとスマートにこなしちゃうし、」
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作者名:ぼんぼん。 | 作成日時:2018年10月21日 0時