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それから数日後のある日、都内のホテルにて、
いつものようにふたり堕ちていく。
「っ、淳太くん、」
「……A」
「あの、さ…っんん、」
きっと、彼女はもうこれで最後にしようと
言いたかったのだと思う。
そんな言葉を遮るように
深く唇から愛を注ぐ俺はずるい奴。
もう今だけが愛し合える許された時間なのだから、
何も聞かないで、この時間を壊さないで乱れたい。
「っはあ、」
「んん、じゅんたく、」
理性なんかとっくに捨て去って、
身にまとっていたものも脱ぎ捨てて、
醜い欲望のままに貪り合う。
彼女はちゃんと分かってるから、
俺には帰らなければならない場所があることを。
だから、俺の首筋に唇を押し当てるだけ、
ルージュの痕を付けるだけ。
そして俺は、彼女は俺のものではないというのに、
これまたずるい奴だから、勝手な独占欲で
彼女の首筋にいくつか華を咲かせて。
首筋から顔を上げて、瞳をのぞき込む。
会うほどに、愛し合う度に、
もっと君に溺れていく。
そんな彼女の寂しげな瞳がうつしていたのは、
俺の左手の薬指の、もうそこにはなんの愛情もない
冷たい指輪。
誰も幸せになることもない、なのに抜け出せない
俺たちの “ アイ ”
．
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作者名：ぼんぼん。
| 作成日時：2018年10月21日 0時
