【短編集】瓶詰め彼らにこんにちは【m/z;m,n】

さんにんめ【3-2】 ページ10

『はぁぁぁぁあ…つっかれたぁ…』



あれから、数日。



全く瓶の蓋が開く様子はない。

『え、助けて〜！って感じで叩いてたじゃん…どうして…』
1｢気持ちが伝わらなかったとか？｣
2｢もう、ズズ諦めたんけ？｣
『え、諦めたとか…あるの…？』
1｢あるんじゃない？僕らには分からないけど｣
2｢どうやろうなぁ…｣


そう言われてそっと、ズズくんの入っている瓶に手を触れる。

今はずっと、彼は綿の上でスヤスヤと寝ている。



『起きて…くれないのかな』




あれからずっと、ズズくんは寝ている。
スヤスヤと、すぅすぅと。




『ズズくん…起きて…』


そう言って、ぺとりと
人差し指を瓶にあてる。









きぅ





2｢あ｣







きぃぅ







1｢…A｣







2｢Aちゃん、｣








きぃ、









からん








『…っあ、ふた…』






｢ふぁぁ…寝た寝た…って、あ？｣





2｢おはよう、ズズ｣
1｢おはよう、起きたね｣
｢おぅ、おはよ…その人？俺のこと引き取ってくれたの｣
1｢うん｣


｢おはよう、お姉さん、俺はズズ｣
2｢あ、いつものやんないのけ｣
3｢まぁ、そりゃあね｣
『…ズズ、くん…』
3｢うん、くんってなんか距離感じるから、付けなくていいよ｣
『…ズズ…？』
3｢うん、そう。ズズ｣
『…ザザ…？』
3｢うん…って、ズズだよ！｣



『ふふっ』
2｢いつもの出たねぇ｣
1｢キレ戻ってきた？｣
3｢戻ってきてわけじゃねえわ、なんでやっぱいじられんの…？｣
『やっぱりってことはいじられたことあるんだ…』



3｢…あるよ…｣



そう言うと少し悲しそうな顔をしたのは、その時の私には分からなかったんだ






3｢あ、そういえばお姉さんの名前聞いてなかった｣
『私？Aっていうの』
3｢…いじろうと思ったら普通に良い名前だったわ｣
『わぁー！！ごめんごめん！もう名前でいじったりしないから！』
3｢Aって呼ぶことにするわ｣
『…ありがとう』

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