【小説版】終末世界の彼ハ誰時 (ページ6)

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◆03.作戦開始/エリオットページ6

防衛局内が騒がしい。バタバタと誰かが馳ける音が通路内で反響して、局員全員を急かしている様だった。

「状況は!? 今、どうなってる!」
「防衛局周辺と国津神東部に小型種と中型種が複数、数は10機を超えています。更に東北部に推定9メートル以上の大型種一機がtearsに向けて侵攻しています!」

　休憩を理由に出遅れた俺は、怒鳴りながら司令部へ入った。そこに、慌てた様子で局員の一人がバインダー片手に状況を説明する。
　司令部は人の声とサイレンで騒しく、机の上は膨大な資料と地図が次々と埋めていく。
　既に雷元局長が指揮を執っており、雪さんも国津神東部の地図を前に作戦を組み立てていた。

「現在、戦闘部隊第一、第二班は人命救助。第三班は大型兵器の配備をしています。特殊戦闘部隊第一班東部の小型中型の迎撃、第二班は二手に分かれて迎撃と大型種の偵察に向かわせています」

　流石、局長は仕事が早い。人命を優先した上でレイドロイドの迎撃、更に大型種の対応まで隙がない。毎度毎度、舌を巻く程に。
　だが、局長も万能ではない。極僅かな隙間を突かれない為にも、此方もその作戦を完璧に仕上げなければならない。

「了解。今回観測された種類は?」
「小型種は犬-I型と鷲-III型。中型種は馬- I型と熊-I型。大型種は象-I型でしょうか?」
「成る程、象-I型は厄介だな……」

　レイドロイドの種類は多く、全て個体の形と武装で名称が付けられている。武装の型はI～V型までがあり、I型は攻撃特化、II型は防御特化、III型はスピード特化、IV型は遠距離特化、V型は特殊性能持ちとなっている。つまり、犬-I型は犬の形状をした攻撃特化型レイドロイドとなる。

　今回I型が多く出現している事から、攻撃重視の編成がされている。だが、全個体が同じ性能ではない。どの動物の形状をしているかによって、性能も大きく変わっていく。だから、現在一番厄介なのは象-I型。象のレイドロイドの大半は防御力が高い。その上攻撃特化だなんて、最早存在その物が凶器だ。

「回線を繋げ。それと予想以上に数が多い。非番の連中引っ張り出して迎撃に向かわせろ」
「分かりました」

　局員に簡潔な指示を送り、巨大なモニターと電子機器の前に座った。マイク付きのヘッドフォンを装着し、雪さんから貰った作戦資料の一部を手に、迅る鼓動を抑える為の深呼吸する。

「回線繋ぎました!」

　さぁ、準備は整った。

「Attention please? 今から国津神東部、レイドロイド迎撃作戦を開始します」