好きです、好きでした。【長月夜】 (ページ4)

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今日は満月だ。ライブにいっぱいいっぱいで気が付かなかったけど大きくて丸い綺麗な月。
＿＿この月をAと二人で見れたらどれだけ幸せだろう。どれだけ綺麗だろう。

「おい、夜。」
「あっ、陽いたの……！？」
「まぁなー。」

そう言うと服のポケットから携帯電話を取り出してその画面を俺に見せた。

「これっ……！？」
「あいつも、お前と一緒だよ。」
「どうして……。」
「理由は知らねぇ。でもまだ＿＿」
「まだ、どこかいるかなっ！あぁでももう帰った？あぁぁ……！」

頭が正常に働いてくれない。
軽くパニックになってあたふたする。
本当にカッコ悪い。

「＿＿公園。すぐそこの公園にまだいるんだと。」
「本当？」
「嘘言ってどうするんだよ。」
「あぁ、ありがとう！陽、俺ちょっと行ってくる！！」

「頑張れよ。」

その言葉を聞くと俺は全速力で走っていた。
Aがいると言う公園へ＿＿

『今日、見に行くからね！陽くん頑張って！
本当は夜くんにも言いたいけど私にはそんな勇気ないから……
遠くの客席で見守ってます！』

＊＊

「Aっ！」

「え、よ、夜くん……！？何で！？」

いた。俺がずっと好きだった人。

「陽に、メールの見せてもらって……！今日、来てたんだね。」
「う、うん……来てた。あの、その……かっこよかった、です。その、夜くんが、一番……。」

下を向いて途切れ途切れで言う言葉が凄く嬉しくて照れくさい。
何より二年ぶりに会ったAが綺麗で見とれた。

「あ、ありがと……お、覚えてる、よね？俺が告白したの。」
「忘れるわけないよ！だって好きだったもん！夜くん、私夜くんのこと、好きだったの！」
「え……。じゃあ、何で……？」

Aは当時から、俺が好きだった。
で、俺は告白したが振られた。

「知ってた、から。アイドルなるかもって……」
「でもあのときまだ誰にも＿＿」
「修学旅行の時の、聞いた……。ごめんなさい、立聞きするつもりなかったんだけど……」
「そうだったんだ……。」

聞いてたのは知らなかった。
振られたけど俺を思ってのことが嬉しかった。

「俺……俺まだやっぱりAが好き！こんな二年も経ってるのにまだねちねち思ってるとか気持ち悪いかもだけどっ！俺がアイドルであろうがAがなんだろうが好き！やっぱり諦められない。」
「諦めてよ……。そんなこと言われたら、私……。諦めようとしてたのに。」
「諦めなくて、良いよ。A……。」

首を振るAを抱きしめた。