ただ、傍にいるだけ。 3【忍足侑士】

By your side_91 ページ3

試合を終えてスマホを確認したらAからのメールがあった

そこには時刻と駅だけが書かれていた



「謙也、どないしたんや？」

「悪い、白石！俺、今から駅行ってくるわ！

先輩すんません！幼馴染待ってるんです、失礼します！」



俺がそう言えば先輩も白石もしゃーないと俺を送り出してくれた

メールで知らされている時間にはまだ30分はあるから急いで電車乗ったら間に合う



「それにしても、明日の朝ちゃうんか？Aもせっかちやなぁ…」



急いで新幹線の到着する新大阪駅まで行けば

時間になると共にAが多めの紙袋と小さめのキャリーバックを持って改札を通って出てきた

俺が勢いよく手を振ればすぐに気づいて近づいてきた

久しぶりに会う幼馴染に喜ぶのも束の間、近くでAの表情を見てふと、違和感を感じた



「……A、なんかあった？」

「そんな顔してる？」

「おん、あんまこんなこと言うと怒るかもしれへんけど……

A、しんどそうや…嫌なことあった？」



俺がそう問いかければAは戸惑い気味に小さく首を縦に振った

その姿があまりにも痛々しくてイラついた



「誰や？そんなことした奴…」

「……今考えたくない

帰ろう、こっちいたら落ち着きそうだから」



これ以上、聞いてもこれは答えてくれへんって確信した

仕方なく、それ以上は聞くことなくAの実家に向かった

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