ただ、傍にいるだけ。 2【忍足侑士】

By your side_88 ページ44

夏休みはいるとひたすら暇だった

課題なんてすぐに終わった

侑士のために一応は、朝に一旦起きて朝食やお弁当を作ったりはしたけど

それは、ただの日課で別段、大変と言う事もない



「……暇すぎる」



自分一人で家で過ごし、いい加減独り言まで言い始めた頃

急にスマホに着信が入った



「…はい」

『A、A！今、ええか？ええよな！出てくれたもんな』

「煩い！」



名乗りもせず、騒がしいぐらいの声を電話口に叩き込んでくれたのは

もう一人の幼馴染…忍足謙也だ

何で、侑士はあんなに忙しそうなのに同じテニス部のコイツは

こんな真昼間から電話してくるんだ、暇か？

いや、言わないでおこう…自分に返ってくる



「で、何？」

『Aがいつ頃戻ってくるか気になって夜しか寝られへんねん！』

「はいはい、健康なようで何より

……関東大会の決勝が終わったら行くつもりだよ」

『関東大会か…ええやん！丁度、俺も近畿大会終わったらちょっと休みやねん！』



らしい…

まあ、戻って会えなかったとなったら煩そうだから

予定が合うならそれに越したことはないだろう



「じゃあ、母さんにはそう伝えとく…」

『おん！あぁ、ちゃんと詳しい日程教えてくれたら駅まで迎えに行くで！』

「何？荷物持ちしてくれるの？」

『何でやんね！…ってのは冗談で…そうや！代わりに』

「予想つく…お土産ぐらい買っていくよ…リクエストあるならメール送っといて

母さん達にも聞いといて…白石君達もいいよ」



そう返すと早速、謙也が騒がしく自分の母にお土産の希望を聞いているのが聞こえた

…これは後で、もう一回メールを催促しないといけなさそうだ

相変わらず、騒がしい幼馴染のおかげでその日の時間を潰せた上に

帰省前までの大量の用事も出来た

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