其れは君だった0.5 出会い其の弐 ページ46
そんな日々があったなんてね、考えられもしないや。今と比べたらね。
あの時は死にたくは無かったし、親も居たし、皆んな私を非難する事なんて無かった。
「起きた?」
男性の声が聞こえる。
その時無意識に天井、と呟いたのか、男の人は嗤い、其の返答は予想できなかったな、と、云った。
でも、其の嗤いは莫迦にする嗤い方じゃ無かったから、別に苛立ったりはしなかった。
其の侭私は其の人の顔を一瞬見て、天井を見つめて溜息をついた。
溜息をつく理由は私にも解らない。何となくと言うとこだ。
「そうだ、自己紹介がまだだったね、僕の名前は、
垢浪健人と名乗ったこの人は……如何も特徴が無さそうな普通な人だ。一般人といっても良いくらいだ。失礼だけど。
柔らかく、黒い頭髪に何処か、優しさを感じる黒い目。フードつきの灰色のパーカーを着た何処にでもいそうな人。特にと言えば、何本か白の白髪……と言うより染めたような感じの白の髪の毛があるくらい。
年齢は……私よりも十は上くらいかな。
「君の名前は?」
と、垢浪健人と名乗る男に尋ねられた。
でも私は知っている。見知らぬ人に個人情報を教えてはいけない事を……!
勿論、拒否権はあるにきまってて?
当然のように私が黙れば、まぁ、知らない人だからね、といって、立ち上がり、私に問いかけた。
「咖哩ー……、食う?」
×××
久し振りに食べたご飯は、咖哩は美味かった。
口の中に渡る少しピリッとして辛み、でもそれもまた良い。
空っぽだった腹の中も今は咖哩でいっぱいだ。
なんて幸せなのだろうか。食べ物があって、天井があって……
なんなら今此処で死んでも良い。
死ねるなら。
元々白かった髪はあの事件。私の事件から、皆んなに注目されないように、黒く染めた。
お陰で一般市民に紛れる事が出来た。
ただ、黒の背広を着た人達以外にはだけれど。
でも、食べ終わってしまったし、これから如何しよう……
行く当ては当然無いし、
やる事も特にといっても無いし、
外に出ればまた背広の人に追いかけられるだけ、
如何しようかな…………
「君さ、孤児だよね?」
と尋ねれば私は軽く頷くばかり。
他に答え方ある?
「僕の友達でさ、子供が好きな人が居るんだ、良かったら会いに行かない?きっと気があうと思うよ」
私は頷いた。やる事も無かったし、何となくとその人が気になったからだ。
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梅雨椪 - 青空と雨さん» 実際、私も小説描くの未だ未だ初心者ですから、書いてるうちに慣れてくると思いますよ!(私もそうでした)私は自分のオリキャラに文豪達を只巻き込んでいるだけなので、主人公のキャラ設定さえしっかりしていれば書けると思います!素敵なコメント有難う御座います! (2019年8月7日 2時) (レス) id: dd9330d6af (このIDを非表示/違反報告)
青空と雨 - 梅雨椪さん» めっちゃ面白かったです!どうやったらそんなに上手く小説が書けるんですか…?私の書いてる小説、全然ダメで…凄く羨ましいです! (2019年8月2日 22時) (レス) id: 523f0370de (このIDを非表示/違反報告)
梅雨椪 - これからも頑張ります!どうぞ宜しくお願い致します! (2019年7月25日 2時) (レス) id: dd9330d6af (このIDを非表示/違反報告)
梅雨椪 - 有難う御座います!頑張ります! (2019年6月8日 0時) (レス) id: 7128cd4b8b (このIDを非表示/違反報告)
ピンポン - 敦くんが「生き別れの妹です!!」って言った時は笑いましたww更新楽しみにしてます (2019年6月8日 0時) (レス) id: fabb623d55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梅雨椪 | 作成日時:2019年6月6日 22時