一緒に暮らす? ページ37
「えへへ……みんな優しいな」
「Aちゃん、キラキラニコニコでウルトラわんだほいだね♪」
「わ、わんだほい……?」
「うん! あ、司くんと一緒に暮らすようになったら、もっとずっと笑顔でいられるね!」
「え、一緒に暮らす?」
脈絡のない話の流れに困惑するA。そんな彼女を置いて、えむは嬉しそうに続ける。
「咲希ちゃんもいるし、きっと毎日楽しくなるよね! いいなぁ〜」
「あ……そっか、咲希ちゃんにもまた会えるんだ……! 司くん、咲希ちゃんは今元気?」
「ああ! 高校生活を楽しんでいるぞ」
「そうなんだ……」
自分のことのように嬉しそうな司を見て、Aもまた笑みを浮かべた。咲希が元気になったと聞いて、心の底から安心しているようだった。
「……それで、えむに先に言われてしまったんだが――退院後、行く当てはあるか?」
「うっ……」
司が訊ねると、Aは気まずそうに視線を逸らす。
「そこでなんだが、オレの家に来ないか?」
「え……」
「咲希も喜ぶだろうし、それに……お前をもう一人にはしたくない。うちに来るのが一番だ」
胸の内を打ち明けるように、真っ直ぐにAを見つめながら言った。
「でも、迷惑じゃ」
「そんなことはない! 母さん達も、二年前からお前のことを心配していた。だから、遠慮なんてしないでくれ」
「……、……わかっ、た」
Aは少しの間悩んだあと、小さく首を縦に振った。
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作者名:あきいろ | 作成日時:2022年9月18日 8時