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君とセカイでもう一度 ページ30

「えぇーと、ペガサスダガー……だっけ。ある?」

「ああ」


Aの問いに答えながら、司は身につけていたボディバッグから短刀を取り出した。

それを見て表情を若干強ばらせるが、すぐにAは自分の頬を両手で叩く。そして覚悟を決めたように息を吐くと、司の目をまっすぐに見据えた。


「……お願いします」

「――わかった」


肩口に刃をあてがうと、小さく震えるA。しかしここで躊躇うわけにはいかない。


「最後にもういっこわがまま言ってもい、い……?」

「……っ、言ってくれ、なんでも……!」


声を詰まらせながらもどうにか応えると、彼女は安心したような表情で微笑んだ。


「――キスしてほしい、なあ」

「っ、」

「だめ?」

「……そんなことくらい、いくらだってしてやる」


Aの身体を抱き寄せて、その唇を奪う。

触れ合った箇所から伝わる体温に、司は涙が出そうになった。
このまま時間が止まればいいのに。
そう願わずにはいられなかったけれど、時間は残酷にも過ぎていく。

唇を重ねたまま、ぐ、と短刀を握る指先に力を入れる。


「――ありがとう、司くん。大好きだよ」



……言い逃げなんて、ずるいじゃないか。


「――だが、今回ばかりはオレの広い心に免じて許してやろう!」


彼女のいなくなった公園。司は誰が聞いているわけでもないのに、そう大きな独り言を零す。

彼の表情は晴れやかだった。

なぜならば、きっとまた会えるはずだと、そう信じていたからだ。




――君とセカイでもう一度。




*1/23は(ワンツースリーですね)このシリーズを投稿し始めて一周年なのでキリよく。いつも読んでくださりありがとうございますm(_ _)m今後とも、どうぞよしなに!

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設定タグ:プロセカ , 天馬司 , ワンダーランズ×ショウタイム   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あきいろ | 作成日時:2022年9月18日 8時

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