｛55話：やっぱり｝ ページ7
否…眠りにつけた訳がなかった。
そう、旅行特有のアレが発動してしまった。私は寝る環境が変わると寝ることができなくなってしまうタイプの人なのだ。
仕方ないと思い、ベットから起き上がり、窓の外を見る。
雲一つない夜空が広がり、海の水面には月が反射してキラキラと輝いていた。
そんな窓一面に広がる蒼に、吸い込まれそうな気分になる。
『本当に綺麗な海だな…って、あれは……？』
ふと下を見ると、別荘の前に見慣れた人影が見えた。
さらさらと夜風になびく金髪。あれはきっと…。
その人が誰か理解した私は、部屋から出てその人に会いに行くことした。
他の人を起こすと悪いので、静かに階段を下りて玄関まで向かう。
私が外に出ると、その人はこちらに気が付いたのかくるりと振り返った。
Gr「…Aか。どうした、眠れないのか？」
『そうですね。環境が変わると寝れなくなるタイプでして』
そう言うと、グルッペンさんは海を眺めながらそうか、なんて言いながら笑う。
私はグルッペンさんの隣に行き、2人でぼーっと海を眺めた。
時折吹く風が私の頬を撫でて、グルッペンさんの綺麗な金髪をなびかせる。
…この人、絵になるなぁ。どの角度から見ても綺麗だなんて、凄い人だ。まるで生きた彫刻みたい。
何か話題でも、なんて考えていると、さっきおばあさんから聞いた話が頭に浮かんだ。
『…あの』
Gr「ん。どうした？」
『グルッペンさんって、昔はもっと無邪気だったって着付けをしてくれた人に聞きましたよ』
Gr「あぁ、そうらしいな」
『全然想像出来なかったです。…ほら、グルッペンさんって大人な雰囲気があるじゃないですか』
Gr「ほぅ」
『こんなに大人っぽくて綺麗でかっこいい人にも、そういう無邪気な時期があったんだなって思って』
Gr「……」
『…グルッペンさん？』
Gr「……なぁ」
何ですか、と私が答える前に視界がぐるりと回る。
私の背中には堤防があり、目の前には綺麗なグルッペンさんの顔があった。
あぁ、壁ドンなんて前にもされたことがあるはずなのに。
…私の心臓はあの時より高鳴っていた。
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鶴(プロフ) - コメントありがとうございます！作者は関西圏では無いので、キャラに合うような関西弁が出来ているか不安だったのですが、そう言って頂けるととても嬉しいです…！！！ (2021年2月16日 22時) (
レス) id: c881247ce8 (このIDを非表示/違反報告)
ばんのすけ。 - 完結、おめでとうございます。面白くて一気見してしまいました。ちなみに私が好きな推しはzmです。関西弁なのも似合っててグッときます！ (2021年2月16日 21時) (レス) id: b7bc451954 (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 柚香さん» コメントありがとうございます、楽しんで頂けたようでとても嬉しいです！ (2020年6月23日 23時) (レス) id: f1f48612a8 (このIDを非表示/違反報告)
柚香(プロフ) - 完結おめでとうございます！すごくおもしろかったです (2020年6月23日 23時) (レス) id: f5da286a01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶴 | 作成日時：2020年6月1日 22時
