｛49話：着付け｝ ページ1
それから数十分後。私は1人で2階を徘徊していた。
着付けをしてもらおうと思って2階に来たはいいけど、使用人さんとは一体…？
グルッペンさんからは使用人としか聞いていないので、誰なのか分からなくて困っているのだ。
そのまま1人でおろおろしていると、突然使用人らしきおばあさんに声をかけられた。
「お嬢さん、どうしたんだい？」
『え、えっと、グルッペンさんに浴衣の着付けをして貰えって言われて…』
「あぁ、なら私がしてあげよう。着付けは時間がかかるから、もう行くよ」
『は、はい！お願いします！』
まさかの相手から話しかけてくれるとは…。
この人が、グルッペンさんの言ってた人かな？見た感じ優しそうだし、よかった。
ただでさえ人と話すの苦手なのに、キツめの人だったら心が折れてたかもしれない…。
心の中で安心しながらおばあさんについて行くと、綺麗に掃除された小さめの和室に着く。
その部屋に入ると、やさしい木の香りに包まれる。
私は服を脱ぎ、渡された肌襦袢を着て、着物の着付けを始めた。
「…お嬢さんはお坊ちゃまと一緒で黒が似合うんだねぇ」
『お、お坊ちゃまって…グルッペンさんの事ですか？』
「そうだよ。十年前はお坊ちゃまの世話をしていたから、なんだか懐かしくなるねぇ」
確かにお金持ちの人ってお坊ちゃまって言われてる感じがする。
でも実際に呼ばれてるところなんて初めて聞いたな。
それにグルッペンさんが小さい頃から働いてたって事は、相当長い付き合いなのか。
いいなあそういう関係。なんだか憧れる……。
「ふふふ、彼女さんかい？」
『へ！？ち、違いますっ……！』
「あら、そうなの？お坊ちゃまが女の子を連れてくるなんて珍しいから、勘違いしちゃったわ」
ニコニコと上品に笑うおばあさん。
まさか、そんな訳ないでしょ…！
あの人の彼女になんてなったら毎日波乱だよ、寿命縮んじゃう…。
「どうですか、お坊ちゃまの様子は」
『へ、えっと…紳士的で、とてもいい人だと思います…』
……多分だけど。
でもノックして部屋に入ってくる辺り意外と紳士的なんだなとは思う。
少なくともキヨはノックしないからね。ノックどころか思いっきり扉開けて来るから。
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鶴(プロフ) - コメントありがとうございます！作者は関西圏では無いので、キャラに合うような関西弁が出来ているか不安だったのですが、そう言って頂けるととても嬉しいです…！！！ (2021年2月16日 22時) (
レス) id: c881247ce8 (このIDを非表示/違反報告)
ばんのすけ。 - 完結、おめでとうございます。面白くて一気見してしまいました。ちなみに私が好きな推しはzmです。関西弁なのも似合っててグッときます！ (2021年2月16日 21時) (レス) id: b7bc451954 (このIDを非表示/違反報告)
鶴(プロフ) - 柚香さん» コメントありがとうございます、楽しんで頂けたようでとても嬉しいです！ (2020年6月23日 23時) (レス) id: f1f48612a8 (このIDを非表示/違反報告)
柚香(プロフ) - 完結おめでとうございます！すごくおもしろかったです (2020年6月23日 23時) (レス) id: f5da286a01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶴 | 作成日時：2020年6月1日 22時
