青春 ページ45
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野坂、灰崎、ヒロトは手の甲で軽くハイタッチをかわす。
いかにも男子の『青春〜』と云う雰囲気に紫音は1歩下がって眺めていると、野坂が紫音に掌を向ける。
「ナイスアシスト、紫音ちゃん。」
「どうも。皇帝の指示が的中したね。」
ぱちん、と乾いた音が鳴った。
ハイタッチと云うものを紫音は初めて経験したが、案外悪くないな、と思った。
紫音の口角が上がっていたことを見抜いてか、野坂は1つ提案する。
「折角だから、2人ともしたら?」
「いや いいよわざわざ__」
遠慮がちに眉を下げていると、頭上から「ん」と声をかけられた。
身長差と声から察するに、灰崎だ。
「さっきの動き、良かったぜ。」
一瞬何のことかわからなかったが、数秒経ってからボールを奪い返した時のことだ、と思い出した。
「ありがと。」
先程と同じようにハイタッチをすると、野坂より力は強かったが痛くはなかった。
「ヒロト君は?」
「ああ?俺はいい。」
「何照れてんだよ。キモイぞ。」
「照れてねーよ!」
またガミガミと神と悪魔の言い合いが始まりそうだったので、紫音が先に引き下がった。
「別にしたくないならいいけど。」
「はっ、仕方ねえな。ほらよ。」
「何が "俺はいい" だよ…。」
「タイミングを逃しちゃったんだね。」
コソコソとしているのにうるさい外野にヒロトは顔を顰めたが、睨むだけに留めた。
紫音は てっきりする気がないんだろうと思っていたのでこれには驚いた。
紫音の方から掌を近付けていくと、重なる直前にヒロトはニヤリと笑い、ひょいと手を高くに上げた。
「最低。」
「お前、改めて見るとチビだな。」
実際ヒロトの方が背が高いので間違ってないのだが、見下すように言われて紫音は ムッとする。
「成長期の君に比べたらね。てか、さっき一星に同じことされたんだけど。」
「そういやタツヤとお前来んの遅かったな。どうでもいいけど。」
「こっちだって教える気ない。特にハイタッチ避ける性格悪い奴には。……もう戻るよ。」
「待て。」
呼び止められ、紫音は「何?」と振り向く。
すると、頭に手が乗せられ、わしゃわしゃと撫でられた。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます!最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2020年4月7日 18時