皇帝 ページ40
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「まぁ君が出るって言ったって、交代する相手がいないでしょ。」
「そうですねえ。あなたは日本の秘密兵器。まだ出すのは早いと思うんです。」
「秘密兵器だったのか…」と周りの選手達は ポカンとしていた。
秘密兵器…即ち攻撃の切り札として監督に認められていたにも関わらず、剛陣は食い下がる。
「何言ってんだ!どんなに凄い兵器でも、使わなきゃ宝の持ち腐れだろうがよ!」
「やめとけよ剛陣。」
監督の意図を察したような不動が、後頭部で手を組んで歩み寄った。
「監督には何か考えがあるんだろ。」
「そうそう、まだ温存されてなよ。」
「けどよ…。」
「僕も同感です。」
突然、剛陣でも監督でも不動でも紫音でもない、少年の声が入って来た。
"僕" との一人称、そして抑揚のない落ち着いた声には聞き覚えがない。
「剛陣先輩が出るのはまだ早い。あの程度の雑魚に、先輩の『ファイアレモネード』を使う必要はありませんよ。」
「ああ?」
サラッと相手チームを雑魚呼ばわりし、なかなか辛辣な言葉を並べた少年に全員が一斉に振り返る。
その毒舌少年は日本代表のユニフォーム、そしてジャージを着用していた。
サッカー少年とは判断し難い 色素薄めな肌色に、瞳は光の宿っていないグレー。
セットに時間がかかりそうな髪の 色は赤とピンクの中間あたりだろうか。
凛とした態度で佇んでいる少年には、この場のほぼ全員見覚えがあった。
「おおーっ!野坂!」
わっと皆が野坂を取り囲んだ。
少年の正体は野坂悠馬。
脳腫瘍の手術のためにアメリカに渡航していた、イナズマジャパンのメンバーだ。
彼はFF準優勝の王帝月ノ宮中のキャプテンであり、同校の西蔭は絶対的な信頼を寄せている。
「お帰りなさい、野坂さん。」
「チッ、面倒な奴が帰って来やがったぜ。」
「この人が野坂悠馬…。皇帝…?だっけ。」
「そうか、紫音は会うの初めてだよね!」
『戦術の皇帝』とかそんな感じの異名がついてたな…と思い紫音が呟くと、テンションが上がり気味の稲森が軽く説明をしてくれた。
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます!最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ | 作成日時:2020年4月7日 18時