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手加減 ページ29

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紫音がジャンプしても、一星の手の中にあるスマホには届かない。

もう少しで届きそうなのだが、生憎紫音は身長が低い。

成長期の真っ最中の中学生男子とは違うので、明らかに不利だ。

力ずくで奪う作戦は失敗か…と紫音が落胆しかけた時、紫音でも一星でもない第3者が背後から軽々とスマホを抜き取った。


「あっ…」

「ごめん一星。でも、紫音が困るようなことをするのはやめてくれるかな?」

「基山タツヤ…ッ!」

「ナイス。」


一星は唇を噛んで悔しがり、紫音は親指を立てて微笑んだ。

誤解を生む写真はタツヤによって全て削除され、一星の元に返された時はご丁寧に電源まで落とされていた。

予期せぬ屈辱を味わった一星は拳を ギュッと握り、わかりやすく思い切り2人を睨んだ。

しかしこれ以上の危害は加えられないと判断したのか、先輩達に挨拶の一言もなくすれ違って通り過ぎて行った。


「ありがとう。タツヤがいなかったら本当に危なかったと思う。」

「うん、下ですれ違った一星の後をつけて来たんだ。それにしても、紫音の回し蹴りには驚いたな…。」


目を閉じ、その時の光景を思い出すタツヤ。

一星はよろけるだけで済んだが、体幹の弱い人なら容易く倒されそうだ。


「忘れて。私が暴力女みたいに聞こえるでしょ。あれば幼少期に叩き込まれたのと、ただの直感だから。余程のことがない限り使わない。」

「わかってるさ。紫音に蹴られるどころか、叩かれたことだってないからね。」

「タツヤ以外にだって初めてだもん。でもこっちは湖畔と階段で突き落とされてるんだから、こんなのが仕返しじゃ足りないよ。」

「災難だな。紫音、本当に怪我ないのか?」

「ない。お陰様で。」









大幅に時間をロスしたが、2人で雑談しながらのんびりロッカールームに向かった。

だが、紫音の頭の中には消しきれない疑問が残っていた。


「ねえ。さっきの一星だけど…手加減したと思わない?」

「手加減してあれって、大分酷いけどね。」

「でも私はかすり傷1つないでしょ?一星はタツヤが来るってわかってて私を押した。」

「確かに、狙ったのかってぐらい落ちて来るタイミングは正確だったね…」

「そう。私が助かりやすいタイミングで落とすなんて、本当に何考えてるのかわかんない。」

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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます!最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ツナ | 作成日時:2020年4月7日 18時

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