懐かしい光景 ページ12
＿＿＿＿＿
♪♪
「紫音ちゃん！もしかしたら、元に戻れるかもしれない。辛いけど、頑張って…！」
「戻れるの？……ッ！」
紫音の目には薄らと透明な膜…涙が浮かぶ。
しかしそれを見せまいと思っているのか、吹雪の胸板に額をくっつけて顔を埋める。
「小さくなった時も、同じようなことが起きたんだ。でもどうしていきなり…。」
少しでも紫音が楽になれば、と背中をさすってやりながら、昨日の記憶を脳内の引き出しから引っ張り出す。
昨夜は、この頭痛と暫く戦った後紫音は静かに意識を失った。
また気を失う程の痛みに耐えなくてはいけないのかと思うと哀れな気分になってしまう。
紫音の泣きわめくような大声は近隣の部屋に丸ごと届いているだろうが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「もう無理かも……。」
ついに紫音の体から ふっと力が抜けた。
自分で支えられなくなった体はそのまま ぐったりと吹雪の方に倒れる。
そんな彼女の肩を トントンと軽く叩き、脳に直接呼びかけるように名前を何度も呼んだ。
これで戻る筈なんだ＿＿。
やはり予想通りに、辺り一面を真っ白い光が照らした。
最後にこれを見たのは昨日のことなのに、やけに懐かしい。
あとは光が強くなっていくのと紫音が元に戻るのを待つだけだが、その間に何もしてやれることがないのがもどかしく感じた。
実際に待ったのは数秒。だが吹雪の体感では、５分は静止していたような気がする。
白い光が紫音の外見を埋めつくし、緩やかに薄れていく。
そして姿を現したのは……紫音。元の大きさの。
当然のことだが、４歳を膝に乗せるよりも しっかりとした重さがのしかかる。
しかし今はどんなに重かろうが軽かろうが知ったことじゃなかった。
「紫音ちゃん！無事に戻ったんだね…！」
「………吹雪士郎？……え？何この体勢！って、ちょっと。」
紫音がちゃんとこの空間に存在することを確かめたくて、少々強引だが腰辺りに腕を通して抱きしめてみる。
「え、……え？どういうこと？それにこのやたら寒い部屋どこ？」
大量の質問と疑問符を飛ばされるが、今は１つ１つ答えてあげる余裕がなかった。
「現代の１４歳の紫音ちゃんだよね…。良かった。」
「………何かあった？」
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ツナ(プロフ) - 怪盗あーるさん» わぁ、ありがとうございます！最近リアルでやらなきゃいけない事が溜まってるんですけど、更新途絶えないよう頑張ります(笑) (2020年4月27日 0時) (
レス) id: 04f33d8056 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗あーる - いつも更新を楽しみにしています。これからも応援しています! (2020年4月26日 21時) (レス) id: 6e9264e8f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ | 作成日時：2020年4月7日 18時
