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……え?
姉妹…?
私と、Aが…?
血の繋がりがある…?
炭治郎の想像すらできなかった言葉に、私は全身の力が抜けていくのがわかった。
頭の中が真っ白になった。
どういうこと?何を根拠にそんなこと言うの?
だって、私は。私達は…。
「……Aとカナヲからは少し似た匂いがするんだ。」
炭治郎は驚きのあまり何も発せない私の心情を汲み取り、ぽつりぽつりと話していく。
「その…家系の匂いって言うのかな?上手く言えないんだけど…。
血の繋がりがあるとやっぱり匂いが似ているんだ。例えば、煉獄さんと千寿郎くんの匂いが似ている、みたいな。
それに、Aとカナヲの髪と瞳の色。そっくりだと思うんだ。漆みたいに真っ黒で綺麗な髪と、牡丹みたいで綺麗な紫紅色の瞳。
顔立ちも、凄く似ているわけじゃないけど…目尻とか、二人ともそっくりなんだ。」
…確かに、そうだ。
私も何度も思った。
髪と瞳の色がそっくりだと。流れるような目尻が似ているとも。
でも、まさか。
血の繋がりがあるだなんてこれっぽっちも想像したことはなかった。
ふとある記憶が思い起こされる。
それは恋柱様と話した時の記憶。
Aの過去について聞いた記憶。
私達の過去はあまりにも似すぎていた。ただの偶然なんだと思ってた。同じ悲劇を辿った仲間だと。
でも、でも。
もし、もしも。これが偶然じゃなくて必然だったとすれば。
私達は…。
「…………私達は、血の繋がった、姉妹、だったの?」
気づくのが、遅すぎた。
もう唯一であろう姉妹と出会えたのに、出会えていたのに。
それに気づくことなく、私達は永遠の別れをしてしまった。
もう二度と、Aには会えない。
「……ずっと、言おうか迷ってたんだ。でも、伝えられないままAはいなくなってしまった。
だからカナヲには、どうしても伝えたかったんだ…」
いきなりで吃驚したよな、ごめんな、と炭治郎は頭を下げた。
私は慌てて炭治郎に頭を上げるよう促した。
炭治郎、貴方は何も悪くないじゃない。謝る必要なんてないじゃない。
でもきっと。彼は彼なりにAに伝えられなかったことに負い目を感じているのだろう。
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hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです! (2022年4月24日 19時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『<番外編>』を、作ってほしいです。 できますか? (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月30日 19時