どっちもどっちも大好きなの【栗花落カナヲ】

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無惨討伐から五年の歳月が流れた。その中で、私達も少しずつ変わっていった。



まずアオイ。アオイは伊之助と恋仲になった。
あの色恋沙汰に興味の欠片もなかったアオイに恋人ができた。それが本当に嬉しかった。

アオイは全部一人で抱え込む癖があったから。誰かの肩を借りる術を知らなかったから。

でも、今は。伊之助の腕の中で全てを曝け出して涙を流せる。一度だけ、しのぶ様、A…と涙を零すアオイを抱き締める伊之助の姿を見たことがある。

もうアオイは一人じゃない。伊之助が隣にいる。
良かった、と思わず涙が溢れてしまった。



そして善逸と禰豆子ちゃんも恋仲になった。

善逸が一生懸命アピールして一途に想い続けて禰豆子ちゃんがようやく折れた。
二人はとても幸せをそうに手を繋いでいた。



炭治郎は、どれだけ歳月が流れても、ずっと彼女を想っていた。

新しい人を見つけなよ、と誰かに声を掛けられても、炭治郎は微笑んで俺が愛してるのはAだけだから、と言う。

炭治郎は本当にAのことを想っていて。私なんかが入り込める隙間もない。


そして炭治郎は痣者。あと五年経てば命を賭してしまう。

風柱様と水柱様も二十五を迎えてすぐに静かに息を引き取った。
だからきっと、抗うことのできない運命。


でも私は炭治郎のことを支えることができない。炭治郎の傍に寄り添えるのはAだけだから。

だから、その前に。
叶わぬ想いを告げることだけ、許して欲しい。








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ねぇ、炭治郎。
私、今でも貴方が好きなのよ。
お願いよ。ほんの少しだけで良いから、私に振り向いて。

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