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それからは目まぐるしく時間が流れていった。
炭治郎達が刀鍛冶の里で上弦の鬼を退治した。
そして禰豆子ちゃんが太陽を克服した。
それからぱたりと鬼が出現しなくなった。
鬼が現れなくなったことにより時間ができた為、それを活かして“柱稽古”が行われることになった。
私は継子だから柱である師範に稽古をつけて貰うことができた。しかし継子でない隊士は基本、柱から稽古をつけて貰えることはない。
だからこそ貴重な学びの時間を与えられたことに皆んなが目を輝かせていた。
柱怖い…と絶望している人もいたけれど。
そして柱稽古は始まった。
流石柱最有力候補、だろうか。Aはすんなりと各々の柱の元へ行っては物凄いスピードで稽古を終えていった。
これには皆んな目を白黒させ、実は柱なんじゃないかなんて噂を立てられる始末。
私もあまりにも目まぐるしく稽古を終わらせていくAを見て驚きが隠せなかった。
噂で聞いた話では岩柱様の元へ誰よりも早く辿り着いたみたい。
追いつきたくて、私も必死に稽古を乗り越えていった。
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「カナヲ!」
今日の稽古を終えて蝶屋敷に帰ってくると、Aの姿があった。
「A…怪我、したの?」
Aの右腕には真っ白な包帯が巻かれていた。見たところ血が滲んでいたりする様子はないけれど…。
「ちょっと捻っちゃって。明日は刀振っちゃ駄目ってアオイに言われちゃった。」
折角稽古つけて貰えるのに、とAは残念がっていた。
どうやら明日は恋柱様のお手伝いをすることにしたそうだ。
「じゃあ、もう帰らなきゃ。カナヲ、またね!」
「うん、またね。」
花の綻ぶような優しい笑みで手を振られた。
私も手を振り返す。するとAは嬉しそうに笑顔になる。
“またね”
この言葉が絶対の約束でないことなんて、とうの昔に知っていたはずなのに。
当たり前のようにまた、この言葉を紡いでしまう。
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“またね”
これが私達の人生最期の会話だった。
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hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです! (2022年4月24日 19時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『<番外編>』を、作ってほしいです。 できますか? (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月30日 19時