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「わ、私なんかで、良いの…?」



Aは顔を真っ赤にしてそう問うた。
炭治郎はそんなAの頬に指を滑らすと優しく撫でた。
愛おしそうな視線を向けながら。

嫌。嫌。見たくない。
壊れてしまいそう。嫌よ嫌。
ねぇ、私のことも見てよ、炭治郎。



「Aが良いんだ。
Aじゃなきゃ、駄目なんだ。」



そう告げた炭治郎の瞳は、甘く蕩けるようで、花々を蜂蜜と一緒に煮詰めてとろとろにしたような優しいものだった。そして、愛おしいものを見る瞳をしていた。

声も甘く柔く、猫撫で声なんて比べ物にならないくらい優しいものだった。



「…私、私も、炭治郎のことが、好き。好きなの。誰よりも真っ直ぐでひたむきで、優しくて幸せをくれる炭治郎のことが。ずっとずっと、好きだったの。

私なんかで良ければ、よろしくお願いします…!」



…ああ、なんだ。
二人はずっと前から想い合っていたんだ。

私が入り込む隙なんてこれっぽっちもなかったんだ。



「ほ、本当か…!あああ、嬉しすぎてどうにかなってしまいそうだ…」

「ふふ、私も。どうにかなっちゃいそうだよ。
…夢じゃ、ないよね?」

「ああ、夢じゃないよ。(うつつ)だよ。
…好きだよ、A。」

「私も、好きだよ。炭治郎。」



二人は本当に幸せそうに抱き締め合った。
互いの温もりを分け合うように、寄り添うように。

幸せの沼に溺れてしまった表情だった。
綺麗すぎて、見ていられなかった。輝かしすぎて、見たくなかった。


























きっと心の何処かで。
炭治郎が私に振り向いてくれるかもしれない、なんて淡い期待を抱いていたんだと思う。
そんな筈、ないのに。
彼は彼女一筋なのに。

それがわかっても、その光景を目の当たりにしても。

なんでなんで。
この気持ちは消えてくれないの…?

いっそのこと、消えてくれたら。
素直に喜べるのに。祝福できるのに。

今でもこんなに好きだから。
痛くて辛くて悲しくて仕方がないの。



___さよなら、私の初恋。

.→←.



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hikari - この作品、めちゃくちゃ面白いです! (2022年4月24日 19時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
美咲 - もし作ることができれば、『<番外編>』を、作ってほしいです。 できますか? (2022年4月7日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - 見ていて、悲しくなって、泣きそうになりました。素晴らしい作品ですね。 (2022年3月13日 15時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
琴音 - 切ないところもあったけれど、キュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年3月12日 17時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - コメント失礼いたします。とても切なく、それでもあったかいお話で感動しました。同時に、このお話の夢主目線のお話も見てみたいなと思いました。もしお時間があり、いいなと思っていただけたらそんなお話も作っていただけたら幸いです。 (2020年11月3日 21時) (レス) id: 51a3f09150 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年5月30日 19時

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