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彼のペース ページ8

*


『………カルボナーラ?これでいいと思いますよ…?』


腕を掴んできた彼は突拍子もなくパスタの話をした。いや、逆に今までの流れならば突拍子あったのだろうか。
しかし、普通に聞けばよかったのに何故そんな大胆な行動に出たのか。そんな顔でパスタの話をされても困る。
大体カルボナーラはどの麺で作っても上手くできるだろうし、おいしい。


彼はそんな質問をしたかった訳では無いのだろう、目を見てればわかる。


『あっ、電話盗みしてしまってごめんなさい…わざとではなくって……』


「いや、ちゃう、」
食い気味に被せてきた彼は口で浅く呼吸をして、


「すんません……ほんまはそうやなくて……あの、初めて会ったんやないんですけど、覚えてます?」



予想の斜め上をいく彼の質問に動揺する。
新手のナンパか?しかし、そんなものが1度だって私に声が掛かったことなどない。彼の真剣な目を見たら新手のナンパでないことは明白だ。
これには確信が合った。だって、私も彼とは初めて会った気がしない。何故かはわからないが、それはもう、今朝彼に目が止まった時から感じていた。

でも、モヤがかかったようにそれを鮮明に思い出せない。彼は私を知ってるみたいだけれど、話を合わせて「前に会ったよ」なんて言えるほど器用でもないし、彼の誠実な目にそんな嘘はつけなかった。


『…えーと、人違いやないですかね…』


言ってしまってから「しまった」と思った、彼の関西弁に懐かしさが込み上げてきてつい、関西弁で答えてしまった。そしてまた、誰かとの会話で「しまった」と感じたことがあることに既視感を覚えた。


「…………やっぱり」


声は掠れて聞き取れなかったが私からの返答に納得のいかない様子の表情を見せた彼は、何かを言いかけ押し黙ると、どこか不服そうな顔をしながらも思いついたかのように

「……そーや、お礼したいしちょっと時間ありません?」


彼の言葉は毎度、唐突を更新する。

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sour(プロフ) - はなさん» はなさん、不慣れなもので……ご親切に教えていただきありがとうございます!! (2021年11月27日 21時) (レス) id: 6bf6ad2f5e (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - オリジナルフラグたってますよ……! (2021年11月27日 16時) (レス) id: 1f4f011eda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:sour | 作成日時:2021年11月26日 14時

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