信じるもの【トラファルガー・ロー】 (ページ33)

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私はスミレさんの話を聞いているうちにやっと状況が理解出来るようになってきた。

でも、彼女がやった事は未だ私は受け入れられない。

＿＿＿＿

｢えっAさんって19歳なんですか？｣

『そうですよ〜』

｢大人ぽくて憧れます！｣

『船員(友達)に子どもっぽいって言われるので嬉しいです』

｢私にとってAさんはもうお姉さんです！｣

『私が姉ならロクなことないですよ？』

｢なんでですか〜｣

＿＿＿＿

全て嘘だったのか...

でも、ひとつ聞きたい。

何故、自分の母をあんな風に呼んでいるのか。
何か過去にあったのだろうか。自分の母親を恨むなんて相当なことが無ければないだろう。

『何故...貴女はお母さんをそんなふうに呼ぶのですか？母親でしょう？
私が貴女のお母さんと話した時はそんな、恨まれるような人ではなかった。貴女とお母さんに何があったのですか？』

私の質問に対して、彼女は俯き無言の空間が訪れる。

｢あのババアが...アイツが悪いのよ！！｣

『え...？』

先程までの怪しい笑顔を浮かべていた彼女とは全く正反対で、感情を露わにしてまた涙を流しながら話した。

｢私の父はある日突然亡くなった！
父は“コチョウラン”を営みながら、この街の長だった。

何で死んだのか分かる？病気？怪我？そんなものじゃないわ。
父は...アイツ、私の母親に殺された！！
でも直接殺した訳じゃない。海賊が私の父を殺したんだ！！
その日、私は確かに見たんだ。あのババアが父の話を海賊と話してる所を！

私は...私はアイツが！！許せないんだ！｣

...何か矛盾がある気がした。

恨んでいるならば、親であろうと命を奪う子どもなんて、残酷だが、居ないことはないだろう。

彼女は母を誘拐するまでは行動に移した...が、結局何もしていない。私に助けられたのが救いだったのかもしれないけど。

でも、そうすると子ども達の親の記憶がないことに説明がつかない。

あの賊の奴らが単体でやったのか？彼女の指示なのではないか？

彼女に行動に矛盾が生じたと感じた私は彼女に問う。

『貴女の母に何も手を出していないのは何故？誘拐事件の全ては貴女なのでしょう？そしたら、あの賊は貴女が指示したことになる。貴女は何がしたかったの？』

｢そ、それは...｣

『...私が代弁してあげましょうか？』