出現 ページ9
太「…そもそも変なんだよ、敦君。経営が傾いたからって養護施設が児童を追放するかい?大昔の農村じゃないんだ」
『確かに…最近の孤児院でもそこまではしないな…』
太「だろう?いや、そもそも経営が傾いたんなら1人2人追放したところでどうにもならない。半分くらい減らして他所の施設に移すのが筋だ」
敦「太宰さん、何を云って───」
敦君がそう言い、太宰さんの方を向こうとして動きがピタっと止まった。
『……敦君?』
太「君が街に来たのが2週間前、虎が街に現れたのも2週間前…」
太宰さんが推理を進めていくうちに、敦君は呻き声を出しながら謎の光に包まれる。
ゴキゴキ言ってるけど大丈夫かアレ…
太「君も「異能の者」だ、現身に飢獣を降ろす月下の能力者────」
太宰さんがそう言うと、敦君もとい白い虎がこっち目掛けて襲ってきた。
『ちちちちょっと太宰さんっ!?これどういうことですか!?』
太「安心したまえ、タヒ人は出ないよ」
『そうじゃなくて!!……って』
1人でギャーギャー騒いでいると、虎がゆっくりとこっちを向いて黄色い瞳でこちらをみている。
『えーっと……うわぁぁぁぁぁ!!』
獣は専門外だよ俺!!
とりあえず逃げてはいたけど、結局壁際に追い込まれてしまった。
『ままままま待って敦君、ゆっくり話し合おう…??』
そんな俺の命乞いも虚しく、虎の爪が俺に向かって振り下ろされる。
───タヒぬっ…!!
すると、爪が刺さる直前で俺の体が水色に光った。
『何これ!?!?太宰さん、これ何ですか!?』
太「さあね、変わってからのお楽しみだよ」
「変わってから…?」
『ぐっ……がぁぁぁぁぁっ!!』
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!
俺の体骨格から変わろうとしてない!?
『あぁぁぁぁっ!!……はーっ…はーっ…グルル…』
グルル?
鳴き声が増えて身長が更に低くなったと思って足元を見ると、フサフサの毛皮。しかも今の髪色と全く同じ。
まさか?虎に変化した的な?
『…だだだだ太宰さんっ助けて下さいよ!!』
太「変化しても自我を持った状態だが、異能の存在を知らなかった…実に興味深いね」
『思慮しないで!!』
太「嗚呼、すまないね。君ならその敦君をどうにか出来るだろう?」
「眼には眼を、歯には歯を」とは言うけどさ…
『分かりましたよ、やれば良いんでしょうやれば』
獣になるなんて初めてだけど、戦闘不能ぐらいなら追い込めるか…
『グルルルル……ガァァァァッ!!』
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作者名:凍架 | 作成日時:2018年6月14日 20時